自分で選んだ医師だから
がんの情報は膨大で玉石混交で、がんと診断されたばかりのころはその混沌とした世界の前で足がすくむばかり。だが、自分で治療法を選択したければその世界に飛び込まざるを得ない。
しかし、その中に入ってがんに関する知識が増えるにつれ、(自分の能力では)取捨選択できそうもないおびただしい情報に絡め取られ、先へ進めない。一つところでしたくもない足踏みをしているうちに、そこが沼地だったと分かったころにはもう抜け出すことができなくなっている。
このころは、ずっとそんな気分だった。
でももうタイムリミット。腹をくくるしかない。
担当医の提案通り、通常照射の放射線治療を受けることにした。2年前、名古屋で放射線治療を受けるならベストの施設、ベストの医師だと思って自分で決めたのだ。その選択は今でも間違っていないと思う(思いたい)。
それに担当医とはそこそこいい関係ではないかと思っている(最初のC病院の医師のことを思ったら!)。
33回通えるか
ネックはやはり回数か。33回なんて通えるのだろうか(不意にC病院の呼吸器内科の上級先生の言葉を思い出す。「6週間なんて通えるの?」)→「2015年8月-5 (12日-2)私、問題患者だったの?-担当医を変えられる」
本当に通えるのでしょうか。
前回の定位放射線は8回だったが、身体がしんどくて辛かった(疲労感、足首の腫れ等々)。今回はその4倍の33回。
2年前(定位放射線)は8グレイ×8回で64グレイ。
今回(通常照射)は2グレイ×33回で66グレイ。トータルの線量はほぼ同じ。
少ない線量で33回当てるのと、多い線量を8回当てるのと、ダメージはどう違うのだろう。
仕事と両立できるだろうか。
毎日タクシーで通院した人も
また、途中で通えなくなったらどうするか。猫がいるので入院は考えられない。
婦人科系のがんになった女性の闘病ブログを見ていたら、放射線治療を受けられる病院まで遠く、公共交通機関をいくつも乗り継いで通うのが大変だったため、タクシー会社に頼んで毎日、自宅から病院まで送り迎えをしてもらったそうだ(約30回)。
病院への交通費は確定申告で医療費控除として認められるが、全部戻ってくるわけじゃないので、自己負担もそこそこしているはず。この女性はもともとがん保険に入っていて、下りた保険金でまかなっていたのだろうか。
私には毎回タクシーなんて無理。私の場合は地下鉄で1回乗り換える必要があるが、駅まで近いし本数も多い。タクシーはどうしても通院がしんどいというときのための最終手段としてとっておこう。
腹をくくったら楽になった
いつもの如く、ああでもない、こうでもないと考えていたので、放射線治療でいくと決めたのは7月も末だった。決めたら迷いが消えて、楽になった。迷うのが嫌で楽になりたくて腹をくくったのかもしれない。
だったらもっと早く決めればよかったが、考え抜かないと決められない難儀なたちなのだ。いつものように疲れる。でも考え抜いたから、あとで後悔がないのだと思っている。そう自分をなぐさめている。
7月22日が「シャーロック4」(BSプレミアム)の最終回、23日が「ダウントン・アビー6」(NHK総合)の最終回だった。どちらも長年続いたシリーズの最終回。
何年も見ていると、登場人物たちが身近な友人や隣人たちのように思えてくる。そんな彼らともう会えないと思うと妙に寂しい。でも、楽しかった、いろんなことを考えされられ、学ばせてもらったというプラスの記憶は、これからもきっと消えない。また素晴らしいドラマに出会えますように。
→続きです。