8月6日、初の造影CT。
通常のCT検査は以前にも受けたことがあるが(6月にも2回)、造影剤を注射されて受けるのは初めて。検査前に腕の血管に針を入れておき、CTの検査の途中で造影剤を注入される。その後、すぐに全身が熱くなる。
「熱くなります」と言われていなければ、あわてふためいていたに違いない。
造影剤は、造影MRIはガドリニウム化合物だったが、造影CTはヨード造影剤を使うそうだ。ヨード造影剤はX線をよく吸収するため、血管を流れると白く撮影されるとのこと。
造影CTの副作用としては、「蕁麻疹、嘔気・嘔吐、頭痛」、まれに「呼吸困難、意識障害、血圧低下、腎不全」、そして約40万人に1人の割合で死ぬ可能性があるそうだ。その確率が高いかどうか分からないが、治療に辿り着く前に亡くなるなんて、さぞや無念でしょう。
三つの検査の費用(全て健康保険適用の3割負担の金額)。
3日 造影MRI(脳) 8550円
4日 PET-CT(胸腹部) 2万7800円
6日 造影CT(胸腹部) 6450円
PET-CTだけ突出して高い。それだけ検査が大がかりということか、あるいは、まだ使われ始めて日が浅いせいか(単なる憶測)。PET-CTだけカラーの立派なパンフレットをもらったけど、そんなの要らないから料金を安くしてほしい。
検査に要した時間は、受付から会計まで、造影MRIが1時間半、PET/CTが2時間半、造影CTが1時間。
C病院は通院だが、入院して行うところもあるようだ。その場合、入院費が加わって、もっと高くなるのだろうか。
検査三つを一泊二日で受けるのがいいのか、通院で3日かかっても他の時間が自由に使えるC病院方式がいいのか。病院から近いかどうかによっても変わるのかもしれません。
立花隆とがん
この頃、立花隆の「がん 生と死の謎に挑む」(文春文庫)を読む。
1999年、前妻(翻訳家の橘雅子)が末期の肺腺がんと診断されたが、医師の話が信頼できないと相談を受け、病院へ付き添った話が出てくる。がんは脳に転移していて手術できず、医師から脳は放射線、肺は抗がん剤での治療を勧められるが、彼女は近藤誠の信奉者で、積極的な治療を拒む。
最末期には立花らの勧めもあって抗がん剤治療を受けるが、副作用が強くやめることに。その後、代替療法に走った末に死去する。がんの告知から死まで約1年だったそうだ。
立花隆の近藤誠の著作への評が、「これまで常識とされてきた、『検診による早期発見』『切れるがんは切るべしとする手術優先』『手術できなければ抗がん剤投与』などの考え方を片端から否定して、既成のがん治療医はほとんどバカといわんばかりの本だった」とあって笑ってしまった。
標準治療を是とする人にとって、近藤誠の著作はトンデモ本以外の何ものでもないだろう。
立花自身は、2007年に膀胱がんを手術しており、その経緯については「がん 生と死の謎に挑む」に詳しい。
2010年、立花隆と近藤誠は対談をしているが、その中で立花は、長いつきあいのあったジャーナリスト筑紫哲也が肺がんで亡くなったことに触れ、こんなエピソードを紹介している。
立花「実は筑紫さんの先輩で、彼がアメリカ特派員だったとき支局長だった人がいて、この人は筑紫さんよりずっと前にがんになったのですが、抗がん剤的な治療を一切やらない選択をした。それでも平気でゴルフなんかしていました。その人は、筑紫さんが末期になったときにも、まだ元気にされていたから、そういう選択肢もあるのかなと思いました。」
近藤「その通りだと思います。」
近藤誠「抗がん剤だけはやめなさい」(文春文庫)第2章「対談:患者代表・立花隆、近藤誠に質す」より
近藤誠の分類に従えば、前妻や筑紫は「本物のがん」、支局長だった人は「がんもどき」だったのかも。どっちに転ぶかは自分では選べない。運としかいえない。
※筑紫哲也は2008年に小細胞肺がんで死去。