2015年8月-15 近藤誠セカンドオピニオン外来が終わって

8月22日の続き。

肺腺がんステージ1Bで、本物のがんの可能性は30%。

ただし喫煙歴があること、そして手足のばち指、しびれの症状があるため、可能性はもっと高い。40%、あるいは50%か。数字だけ突きつけられると、首をゆっくりと絞められるような息苦しさを覚える。

でも、まだ大丈夫。まだ自分の足で立っていられる。

近藤医師の意見を聞いて、改めて、

「手術は受けない、放射線治療を受ける(手のばち指はやっぱり不快)」

ことを決心した。数字的にはダメ押しされた感じだが、背中を押してもらえてよかったと思う。

セカンドオピニオン料金は高いか

相談が終わり、1階のロビーのようなところに下りて女性スタッフに診察料3万2000円を支払う。セカンドオピニオンは自由診療で保険が利かないので、最初HPで見た時は料金が高くて驚いた。しかしこの金額は、慶応大学病院のセカンドオピニオン外来と同じだそうだ。

セカンドオピニオンの料金は医療機関によって自由に設定できるようで、ちょっと調べただけでも30分1万5000円ぐらいから1時間3万5000円ぐらいまでと幅があった(大学病院はおしなべて高い)。

でも専門家に時間を取ってもらって自分の症状についてだけの話を聞ける機会は滅多にない。ありがたい制度だと思う(病院や診療科や医師の選択さえ間違えなければ)。

名古屋からだと新幹線と合わせて5万以上の出費だが、もっと遠方の人は時間もお金もさらにかかって大変だと思う。

支払いのとき、女性スタッフから、「よかったら治療の経過をメールで報告してください」と言われた。ずっと気にはしていたが、実際に書き送ったのは1年後の2016年8月。切りがいいかと思って、1年分の経過をなるべく簡潔にまとめてメールした(それでも長文になってしまったが)。

スタッフの方からは翌日には、近藤医師のコメントとして「ばち指と聞いてすぐに思い出した。報告内容は参考になった。治療経過がよくてよかった」という内容が書かれた返信をもらった(書き方はもっと丁寧で、こちらからの報告も読み込んだ感想が書かれていた。あまりに早い対応で驚いた)。

セカンドオピニオン外来の1回だけで切れてしまうのではなく、今もちゃんとつながっていると思うと、心の中に温かいものが広がっていく気がした。

全国からいろんな連絡が入ると思うのに、対応は迅速だし、丁寧だし、有能を絵に描いたようなスタッフだと改めて感心させられました。

ほかの人はどんな相談をしているのか

セカンドオピニオン外来での近藤医師と患者とのやりとりは、「がん治療の95%は間違い」(幻冬舎新書)にまとめられている。がんと一口に言っても、いろんな臓器のがんがあり、いろんな症状があり、患者はいろんなことを医師から言われたり治療したりして、悩んだり迷ったりしている。ほかのがん患者は、そんなときどうしているか、参考になります。

また近藤医師は、幻冬舎plusというサイトで、2016年3月から週1回、「がんと診断されても信じるな」という連載を持っている。さまざまながんについての見解や、有名人のがんの治療の功罪について書かれている。最近のものは無料で読めるが、会員になれば(無料)、過去の記事も読めます(2018年末に終了)。

(私は近藤誠セカンドオピニオン外来や出版社の回し者ではありません。念のため)

ところで、近藤医師の著書はたくさん出過ぎていて、どこに何が書いてあるのか、すぐに出てこない。家には10冊以上あるが(全体からいったら少ない)、これだけでも、「あれ、どこに載ってた?」と探し回ることがある。

近藤医師の文章は、初期の頃は論文並みに難解で、新しい説の根拠となったデータ、文献の出所も丁寧に記してあったが、最近は専門的な言葉をなるべく排して易しく書いてある本も多くなった(出版社によって毛色が違う気がする)。

以前の近藤医師だったら、こんな言葉遣いはしなかったと思うような表現のある本もあって違和感を抱くこともあるが、ハードルを低くすることで読者が増え、危険で無駄な治療に走らない患者が増えるなら良しとすべきか(なんて私なんかが偉そうに言うことじゃありませんが)。

それにしても、「××」について近藤医師は何と言っていたかというのがすぐ検索できるデータベースがあるといいなぁと本気で思っている。がん治療や医療業界のめまぐるしい変化に伴って、近藤医師の著書も20年前と最近のとでは異なる見解が述べてあることもあるので(新しい本ではそのような断りもあるが)、常に近藤医師の最新の意見が分かるとありがたいと思うのだが、どうでしょう。

戻ります。

→「2015年8月-13 近藤誠セカンドオピニオン外来へ行く-1

→「2015年8月-14 近藤誠セカンドオピニオン外来へ行く-2

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コメント

  1. 近藤誠セカンドオピニオン外来です。近藤より

    「ブログを毎日拝見しています。
    その後の経過や体調が順調なご様子、なによりです。

    ブログの内容は充実していて、私にとっても
    今後、他の患者さんとの相談に際して参考にすべきことがたくさんあります。

    他の方々にもお役にたつことを願っています。」と

    メッセージをあずかりました。

    どうぞ御身お大切になさって
    おすこやかに長生きされてください。

    • クロエサト より:

      近藤誠セカンドオピニオン外来様
      ブログへの初のコメント、ありがとうございました。
      あまりにも思いがけず、驚いて息が止まりそうでした。
      何の反応もなく、一体誰かの役に立っているのか、人を不愉快にさせているだけではないかとずっと不安でしたが、書き続けてきてよかった。
      これからも先生の言葉を励みに書き続けてまいりたいと思います。
      本当にありがとうございました。
      クロエサト

  2. 38歳ガン患者 より:

    ブログ拝見させていただきました。
    私は、四年前に乳がんと診断され、近藤医師のセカンドオピニオンを2度受けました。
    そして、放置し、今日まで元気に過ごしてきました。
    つい先日、しこりが大きくなったのと、脇の下に新たなしこりを発見しました。
    妊娠したいこともあり、気になり検査することにしました。
    近藤医師のことを色々言う人、いると思います。でも、私はどの選択も自分でしてることを忘れてはいけないと思います。
    どんな処置もあくまで自分の選択です。
    治療しない選択を選択と認めてほしい。
    手術や抗ガン剤することだけが闘いではない。
    死ぬことを前提としない生き方も認めてほしい。
    乳がんなので、不妊治療はしてもらえません。
    ガン患者は、死ぬのを待ちながら生きなくてはいけないのでしょうか。
    今回、また近藤医師に会いに行くか悩んでた中、このブログに出会えたことに元気もらいました。
    今後も発信お願いします。

    • クロエサト より:

      コメントをありがとうございました。

      >近藤医師のことを色々言う人、いると思います。でも、私はどの選択も自分でしてることを忘れてはいけないと思います。

      本当にその通りですよね。さまざまな選択肢の中から自分がベストだと思い選んだことなのだから、他人に軽い気持ちであれこれ言われると本当に苦痛です。

      >今回、また近藤医師に会いに行くか悩んでた中、このブログに出会えたことに元気もらいました。

      ありがとうございます。私もいろんな人のブログや本や言葉から元気をもらっています。楽観しすぎず、悲観せず。がんと伴走していくつもりで、坦々と生きていければと思っています。
      これから検査とのこと。結果が出るまでの不安はとてもよく分かります。大事ないことをお祈りします。