医師からのメール
今朝、読者の医師の方から匿名希望で意見(メール)をいただきました。
「放射線治療後には、あなたのような強い変化ないし症状は生じないのが普通です。
これは、バチ状指と関係がありそうな気がします。
バチ状指が生じる機序は解明されていませんが
おそらく、肺がん細胞中で何らかの物質(サイトカイン?)が産生され
それが血中に分泌され、指の組織に影響を与えているのだと思います。
そうだとすると、定位放射線治療で一度にたくさんの線量がかかったことで
たくさんのがん細胞が一気に死んで
細胞中にあったその物質が大量に血中に流れ込み
全身的な影響をもたらしたのではないでしょうか。
以上の考察が正しいとすると
CRPが上昇したのも
足のむくみが悪化したのも
その何らかの物質の影響と考えて矛盾しません。」
ああ、そういうことだったのか! 確かに、放射線治療は副作用が出るにしてもこんなに早いはずはない、また放射線を当ててもいないところに異常が出るのもおかしいと思っていた。
じゃあ、この症状(むくみ、だるさ等)は何が原因なのか、どうすれば取り除けるのか。その思いでいっぱいで、医師に質問したり、自分で調べたりしていたが、いっこうに突き止められず。まさか、ばち指を引き起こした物質が関連していたかもしれないとは。当時、その可能性を医師から聞いていれば、自分も納得し、安心できていただろうと思う(治療を受けている当時、リアルタイムで聞きたかった言葉です)。
ご指摘、ありがとうございました。
ということで、放射線治療を受け始めて起きた症状(咳、だるさ、足首のむくみ、食欲不振等々)は、私特有のものです。
定位放射線治療で普通はこういう症状が出ることはありません。もし誤解された方がいらっしゃったら大変申しわけありませんでした。
しかし、当時は自分がそんな特殊な状態だとは思わず、必死に原因と解決策を探していた。
ブログはこのまま、勘違いを抱えたまま続きます。
9月28日、3回目の定位放射線治療
治療後の問診は、また新しい男性医師だった。再度、体の不調を一から説明するが、あんまり面倒なので、聞いてみた。
「どうして毎回、先生が変わるんですか?」
「勝手に放射線治療をやってるんじゃない、医師のもとでやっているという既成事実を成立させなきゃいけないから」
おお、なんと正直な。体裁を整えるためだけのものだとすると、患者(私)からの訴えは面倒なだけかも。
「咳が出るんですけど」
「治療のときに風邪を引いたかもしれないなー」
何と斬新な見立て! 放射線技師さんにバスタオルいっぱいかけてもらってますよ。
「最初に比べて咳も鼻水も減ってきてはいるけど、以前はこんなことなかったので心配で」
「それなら、それほど気にしなくてもいいんじゃないの。ただ2〜3割は治療が関係している可能性があるかもしれないけど」
一体どっち? 結局、何にも分からないってことか。医師は、
「自分は『がん屋』だから」
がんの専門医だから、ほかは詳しくなくても許されるということ?
「足のむくみはリンパ浮腫じゃないでしょうか」
「リンパ浮腫は放射線を当てた周囲に出てくるから、足首に出てくることはあり得ない。それに、治療を始めたばかりなのに症状が出るのは早すぎる。まぁ、肺炎を疑ってレントゲンを撮ってもいいかもしれないけど。これまで大きい病気、した?」
「三叉神経痛とバセドウ病ぐらい」
「バセドウ病? むくみはそのせいかもしれない」
バセドウ病は喉にある甲状腺から甲状腺ホルモンが大量に出て、全身の代謝が過剰になる病気。横になっていても常に早歩きをしているようで、ちょっと動いただけで全力疾走したくらい息が上がる。内臓もフル回転しているため、食べても食べても痩せていく(ある意味、ダイエッターにとっては夢のような病気かも)。シンガーソングライターの絢香が治療に専念するため音楽活動を休んだことで広く知られるようになった。
私は2000年に発症し、8年後に寛解して以後、検査は一度も受けていない。そのバセドウ病が再発したかもしれないってこと?
「また検査、受けてもいいんじゃないの。(ここで脈を取られて)ただ脈は速くないし、喉も腫れてないから、可能性は低いと思うけど。以前受診していた病院に資料が残っているはずだから、そっちで検査を受けたら?」
自分はがん専門医だから、がん以外診たくない、というオーラをひしひしと感じる。こちらは不安でいっぱいなのに。
医師のため口
それに、なぜこの医師はため口なのか。親しみを感じるという人もいるだろうけど、私は苦手。一定の距離感を保って人と接したいほうなので、こっちの領域にずかずかと入って来られるような気がする。
それにそんな言葉遣いをする理由を図りかねる。アメリカ帰りとか? 親しみを感じてほしいから? 対等だと思って同じようにため口で話してほしいから? でも、初対面で、しかも相手のほうが立場的に上だと、すごく威圧感を感じるんですけど(彼は上司へもため口なのか。ローラみたいに誰にでもそうなら、この人はそういう人なんだと割り切れるけど、相手を選んで使い分けているとしたら・・・)。会う回数を重ねれば、慣れるのかもしれないけど。
翌29日は、少し早めの昼食後、強烈な睡魔が襲ってきて、昼の0時半から2時間ほど眠ってしまった。そういえばバセドウ病に罹患していたころは、スーパーへ買い出しに行くだけで帰宅後に寝込んでいた。その状態に戻っているんだろうか。昨日のため口の医師の言葉は案外、見当外れじゃなかったのかも。
昼寝から目覚めると、心身ともに生き返ったよう。鼻水はほとんど出なくなった。咳はいったん出始めるとしばらく続く。足首のむくみは変わらず。朝の起き抜けは、膝と足首の関節が痛み、しゃがむことが難しい。たまに手の指の腹が痛い。ばち指の症状はいっこうに改善しない。指先が爪も含めてパンパンに腫れて、いつかパチンとはじけてしまいそうだ。