9月30日、4回目の定位放射線治療
放射線技師さんたちは相変わらず仕事が丁寧だ。毎回、固定具が体に合っているか、どこかに当たって痛いところはないかと細かく気を使ってくれる。
ただ、治療の準備段階からずっと両手を挙げているせいか、治療後、右手がしびれてシャツのボタンを留めるのにも苦労する。
「ずっとしびれって続くんでしょうか」と聞くと、
「先生に聞いてください」
技師さんの立場では治療内容に関することは口にできないのだろうと推察する。
放射線治療はようやく折り返し。
治療後の問診は、またまた初めての男性医師。結婚指輪をしている。医師って衛生上、指輪は禁止だと思っていたので、目に留まった。患者の患部に直接触れることがあったりする外科系はダメとか、診療科によって認められているところと禁止されているところがあるのかもしれない。
膝、足首の関節痛、足首の腫れ、咳が続くことを話す。話している最中、ずっと咳が止まらない。
「咳止めの薬を出しましょうか」と言われ、
「なるべく薬は飲みたくないんですが」と答えると、
「そのほうがいいと思います」
意外。勤務医は上(病院の経営サイド)から薬をたくさん出すように指示されているのかと思っていた(病院はどこも経営が厳しいと聞くので、薬剤費で稼ぐのかと)。治療に悪影響を与える可能性があるからなのか、この医師の方針なのかは聞かずじまい。
ただ咳が止まらないのは苦痛だし心配なので、2日後、血液検査を受けることにする。結果によって治療を継続できるか、確認する意味もあるそうだ。
バセドウ病の薬
薬に不信感を抱いているのは、バセドウ病のときに処方された薬でひどい目にあったせいだと思う。
友人から「喉、腫れてるよ。それに最近、すっごくイライラしてる」と指摘され、バセドウ病を疑って近所の内科医を受診したのだが、70近いそこの医師は何を間違えたのか甲状腺機能を向上させる薬を処方した。バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるため、抑える薬を処方しなければいけないのに、正反対の薬を出したのだ。
その後の血液検査で(確か)T4の数値がありえないほど高くなったが、「あれ? 何で? あ、悪い、薬、間違えた」で片付けられた。今思うと、もっと激しく怒ればよかった。その医師は、患者で友人のゴルフ仲間が来ていると、別の患者を診ていてもずっとゴルフの話をしているような人で、いい印象がなかった。
それなのに、何でそんなところで診てもらっていたのか。理由は単純明快、一番近い内科医だったから(周辺には病院も開業医もたくさんあったが)。
あー、そういう理由で選んでペケを引いていたのに、十数年後、C病院でも同じことをしていたわけだ。「近所に名医はいない」、私(だけ)の戒めです。
見かねた友人が、「そこはやめたほうがいい。別のところで診てもらって」と知り合いの病院の内分泌科を紹介してくれた。
バセドウ病の治療方法には薬、手術、アイソトープの3つがあるが、まず薬を試す。薬はメルカゾールとチウラジールの2種類しかなく、両方とも使えないと手術かアイソトープになると言われた(これ、調べてみたら、現在も同じみたいです)。
最初に処方されたメルカゾールを飲んだら、じきに両腕の内側に赤い発疹があらわれた。目に見えてポツポツが増殖していくので、怖くなって病院へ連絡し、すぐに行って処置をしてもらった(注射を打たれたような記憶があるが、ちょっと記憶が曖昧です)。チウラジールでもまた副作用が出たらどうしようと恐る恐る飲み始めたが、こちらは何事も起こらず胸をなで下ろした。
それから内分泌科へは8年間、血液検査に通い、チウラジールともずっとつきあってきたが、数値が安定しているとのことで寛解のお墨付きをもらったわけです。
現在、家にある薬は鎮痛剤(バファリン)だけ。たまに肩こりから来るひどい頭痛で寝込むことがあるので常備しているが、それでも年に3回くらいしか飲まない。一番少量のパッケージを買っても、期限内に使い切れず、処分することが多い(今確かめたら使用期限は2016年8月。とうに過ぎてますね)。
肺がんと診断されてからは、検査で使われた薬剤以外、薬は一つも処方されていない(錠剤も点滴も)。できれば、この状態がずっと続くようにと願っている。