なぜ放射線治療が勧められないの?-4

一昨日に続き、「なぜ放射線治療が勧められないの?」へいただいたtontonさんのコメントへの返事です。治療法の選択についてです。

(以下、tontonさんのコメント)

「ただし放射線治療のメリットは大きいと思うので、それぞれの治療法の長短は公平に説明してほしいですよね。

とはいえ、患者に治療法を選択させることはいいことだと思うものの、あなたが選べ、と言われても正直難しいなぁ〜というのが本音です。」

治療法の自己決定

確かに、治療法のリストを見せられて選べといわれても、選べませんよね。

なぜかというと、患者としてはやっぱり一番いい治療を受けたいから(失敗したくないから)。それぞれの治療法についてメリット、デメリットを知らないことには、ペケを引きそうなので、怖くて簡単になんて選べない。

とはいえ、その治療法のこれまでの成績、その病院での治療成績、医師がベテランかどうか等々を余さず調べるのは難しい。ならば、この病気について全てを知り尽くしているであろう医師に選んでほしい。患者として当然の心理だと思う。

これ、里見清一医師が「医師の一分」(新潮新書)で書いていた「自己決定の呪縛」ですね。

昔は医師が、素人である患者の代わりに治療方針を決めてやるのが正義とされたが、現在は患者は十分に説明を受けて納得し、自己決定する権利がある。しかし未だに自分に従えという医師が多いという声をマスコミで見るが、里見医師はそれを懐疑的だとし、

「私の周りではむしろ、『担当医が決めてくれなくて困る』という話ばかり聞く。」

とあった。

ホントかなー。里見医師の「周り」の人は病院関係者とか大学関係者とか出版関係者とか、社会的に地位のある人のようなので、担当医がことさら丁寧に説明しているからでは? 一般市民にはどんな治療方法があるかをリストにして教えてくれるなんてこと、あるんだろうか? と疑問を抱いたのでありました。

私は呼吸器内科で肺腺がんと診断されたときも、病期がステージ1と確定したときも、手術の話しか出なかった。なぜかといえば、手術が標準治療だから(そして私が大人しそうなおばさんで、医師の言葉に諾々と従いやすそうだったら。ではないか)。

私のように以前から放射線治療を知っていて、放射線を受けたいと言い出さない限り、ベルトコンベアに載せられて手術へと突き進んでしまうのだと思う。放射線治療という選択肢があることを知らないまま。

手術後、後遺症もなく経過も順調なら結果オーライでいいのだけど、息苦しさが続いたり痛みが引かずにいると、「こんなはずでは」と後悔してもしきれないことになるんじゃないだろうか。

初めに説明を受けていれば放射線治療を選んだ

また本から引用します。以前にも取り上げた「がん患者力」(NHK「がんプロジェクト」取材班著(主婦と生活社))。Nスペの取材班ががん患者と家族に行った、今の日本のがん医療体制についてのアンケートの回答から。

「前立腺がんの患者の家族より『治療法についての説明が全くありませんでした。前立腺がんの治療法には、「手術」「放射線治療」「内分泌治療」の3つがあることは後から知りました。初めから説明を受けていれば放射線治療を選んだと思います。今、手術の後遺症で尿漏れや頻尿に悩んでいます。』」

こういう患者さんもいました。

「悪性リンパ腫の患者より『外科の医師と血液内科の医師の間で治療方針が違っていて、どちらに従うべきか、困りました。』」

外科も血液内科医も自分のところの治療のほうがいいと思って勧めているんでしょうけど、その「いい」というのが真に患者のためなのか、自分の診療科の成績を上げるためなのか、どういう力関係が働いているのか、そのへんが素人には見極められない。だからやっぱり自分で調べるしかない(セカンドオピニオンも含めて)。

医師は「訴えられない治療法」を選ぶ

昔は、医師は患者(自分)にとってベストの治療法を選んでくれるものだと思っていました。

でも治療法は多様化し、医師は日々更新される膨大な量の医学情報をインプットし続けなければいけない(仕事熱心な医師ほど大変そう)。そうなると医師自身も何がベストな治療法か判断できなくなってくるのではないか。

そんなとき、「治療法は先生が決めて」と患者から言われたら。

「患者さんに自己決定を放棄されたら、医者は何を選ぶかというと、『訴えられない治療法』を優先すると思います。」(長尾和宏著「抗がん剤が効く人、効かない人」PHP新書)(以前の記事→1 →2

標準治療から逸脱した医療行為をして患者に何かあったらと想像したら、そりゃ怖い。下手なことはできません。

引用した長尾医師の文章は、実は抗がん剤治療についての説明で、こう続きます。

「訴えられない治療とは、つまりは一分一秒でも命を延ばす医療。人間としての尊厳や患者さんの生活の質は、二の次です。/だから、亡くなる直前まできつい抗がん剤やきつい検査をしている患者さんがいらっしゃるのです。」

治療を中止したから死んだ、抗がん剤治療をしなかったから死んだと訴えられないため、医師は疑問を抱きつつ治療を続けざるを得ない。患者が自己決定をしないと、医師にこんな負担を強いることにもなるわけです。

「それなのに、自己決定することを放棄して、結果に満足がいかなれば文句を言う、訴える。」患者がいるそうで、そこまでいくと医師が可哀相になってくる。

やっぱり治療法は全部開示してもらって、患者はそれをきちんと考えて決定することが、患者も医師も不幸にならない一番の方策だと思うのですが。

(これ、突き詰めていくと、日本人論になってしまいそう)

→「もし自分がA子さんだったら

→「もし自分がA子さんだったら-2

2017年6月14日(水曜)

〇体重 49.0 〇BMI 18.6 〇体脂肪率 25.7

■朝

豆乳、野菜ジュース

■お昼

とんこつ醤油ラーメン(ネギ、竹輪)、サラダ(サニーレタス、アーリーレッド、人参、パプリカ、ブロッコリー、豆腐。ドレッシングは岩塩、黒胡椒、オリーブオイル、米酢)

※今日のサラダは小学校の家庭科風。大きめのボールにドレッシングを作っておき、そこへ野菜を次々と投入、さっと和えてお皿へ。おお懐かしい味! でもボールを使うので洗い物が増えるのが(しかも油まみれ)・・・(ブチブチ)。

■お八つ

エビせんべい

※最近、体重が落ち気味なので、お菓子を食べようと買ってきました。

■夕飯

ご飯(雑穀入り、100グラム)、アサリの味噌汁(ネギ)、野菜炒め(ショウガ、タマネギ、人参、シイタケ、ナス、厚揚げ)、煮カボチャ、ゴーヤーのお浸し、梅干し、海苔、

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コメント

  1. tonton より:

    クロエさん、
    軽い気持ちで書いてしまったコメントに大変丁寧で充実した記事を書いてくださり、ありがとうございます。
    確かに医療関係者の友人の話でも病院内のヒエラルキーはなかなかすごいものがあるらしく、病院が個々の患者のために”チーム”で最良の医療を提供してくれている、と思うのは多分に幻想なのかもしれません。

    それにしても、例えば「なぜ放射線治療が勧められないの?-2」に出てくる放射線B医師などは、近藤氏は彼に同情しているようですが、私などはこの人にすごく腹が立ちました。だって彼は放射線の専門医なのに、A子さんに婦人科医の前で「放射線ではできない」と答えるのはとんでもない無責任な嘘つきと思えるのです。婦人科医は放射線の専門じゃないんだから、できないという答えを期待されてるのが分かったとしても「いや〜これができるんですよ」と教えてやればいいだけじゃないですか?そこまで忖度優先なら、腕のいい放射線医としての彼の専門知識は何のためにあるのか?
    と、この問題を考え出すとクロエさんもおっしゃるように「日本人論」になってしまいそうですね(笑)

    近藤氏に対しては、
    私の主治医などは彼の言っていること自体に反論しているのではなく、手法に疑問を持っているみたいでした。私はコメントで洗脳と言いましたが、売るための刺激的なタイトルは(クロエさんも患者会の人に言われたように)却って読んでない人にアレルギー反応を引き起こす逆効果になっている面もありそうです。
    まあその辺は出版社とか色々事情があるのでしょうが。

    治療法の自己決定、これはほんとに難しいと思います。
    ベルトコンベア、という言葉が出てきましたが、私などはがんセンターに通いだして、意識的に一切ネットをやめてしまったほどです。
    なぜなら、もはや大きい病院のベルトコンベアの上に乗ってるのに、今更自分で考えることはないし、ネガティブな情報に接して精神的に凹みたくない、という判断から。
    まさに「お任せします」状態でした。
    たまたま腕のいい外科医(とも知らず、どこのヤッちゃんかとビビってた位)に手術してもらい後遺症はなく、個人的にはラッキーだったわけですが、この『訴えられない治療法』を読んで、知らないことの怖さを考えました。

    >治療法は多様化し、医師は日々更新される膨大な量の医学情報をインプットし続けなければいけない。そうなると医師自身も何がベストな治療法か判断できなくなってくるのではないか。

    本当にそんな気がします。
    そこで『訴えられない治療法』になるというわけですね。

    重い病気になった時、自分が何を優先させるのか?
    治療法を自己決定するというのは、大げさに言えば、自分の生き方が問われているようでもありますね。
    何だかコメントが長〜くなってしまってすみません(;^_^ 汗

  2. クロエサト より:

    tontonさん、コメントをありがとうございました。
    がんを告知されるとき、医師からなぜ放射線治療が提案されないかについて、ずっと私なりの考えを書きたいと思っていたので、今回そのきっかけを与えてもらってとてもありがたく思っています。
    ただ、長くなってすみません。裏付けがないと説得力がないと思って、いろいろ資料に当たっているうち、どんどん長くなってしまいました。

    しかし、「なぜ放射線治療が勧められないの?-2」のA子さんについての返事を書いていたら、またまた長文に。返事は再びブログ本体のほうで書かせてください。

    >重い病気になった時、自分が何を優先させるのか?
    治療法を自己決定するというのは、大げさに言えば、自分の生き方が問われているようでもありますね。

    本当にそうですね。治療を受けないという選択も含めて後悔しない治療法(私にとっては、第一に痛くないこと!)を選べたらと思います。