2017年6月-1 肺がんの患者会-5

先週、肺がんの患者会に参加した(名古屋市がん相談情報サロン「ピアネット」の患者会)。

ピアネットは6月から上前津(名古屋市中区)へ移転。以前も交通の便はよかったが、今度の立地はもっといい。地下鉄のコンコースから地上までエレベーターで上がったところの真ん前のビル。名古屋の繁華街(大須商店街や栄など)にも近くて、患者会後に楽しみが加わった。

また、臓器別の患者会はこれまで半年に1回だったが、今後は年4回に。がん患者から情報交換の場を求める声がより高まっているのだろうか。

4度目の患者会

私は4回目の参加。(肺がんの患者会 1回目⦅→1、→2⦆、→2回目、→3回目

最初のころは、自分の肺がんや放射線治療について話したい、ほかの人がどう思っているか聞きたい、それだけで頭がいっぱいで、ほかの参加者のがんの程度や病状について深く考えを及ぼす余裕はなかった。患者会がどういうものかもよく分からず、驚き、感心することの連続だった。

それが4回目ともなると、だんだんと周囲のことが見えてくる。毎回参加している人と目が合うと、向こうもこちらを覚えていてくれるのか、笑顔で会釈し合う。そして「この半年間、無事でよかった」と心の中で喜び合う(と勝手に思っている)。

ロの字型のテーブルの周囲に参加者が着席する。司会はピア氏のほか、今回は新たにピアサポーターの資格を取得したという元肺がん患者の男性も。術後10年間、転移も再発もなかったそうで、寛解した人の存在はそれだけで励みになる。

参加人数は女性が男性の倍。ただ、来るのが難しい患者に代わって家族が参加したり、患者に付き添って訪れた家族もいる。

年齢層は40代が1人、50代が私を入れて2人。残りは60代で、今回は70代より上の参加者はいなかった。

患者さんの肺がんの種類や病期はさまざま。

詳しくは書けませんが、自分との関連でいえば、私と同じステージ1の患者さんは4人いたが、放射線治療を選んだ人はゼロ。手術後、リンパ節転移が見つかってステージが3に上がり、抗がん剤治療を受けている人が2人いて、確率の高さに驚く。たまたまそういう方が来ていただけかもしれませんが。

がんを受け入れられない

ステージ4の人が3人。そのうち2人はこの患者会に毎回参加している。パッと見、とても4期のがん患者には見えない。定期的に運動したり、家族から食事に気を配ってもらったりしながら、現状を維持しているそうだ。ただ、今服用している抗がん剤に耐性ができたらと考えると、怖さは常につきまとっているとのこと。

最近ステージ3と診断された女性が、がんを受け入れられない、どう向き合えばいいのか分からないと、辛い心情を吐露された。するとステージ4の男性が、

「自分は5年生存率でいえば数パーセントだが、今生きている。以前と変わりなく、ほとんどのことができる。ただ、経過観察で病院で検査を受けるたびに怖い。医師から異常はなかったと聞くと、ああこれで次の検査まで2か月生き延びたと思う。運動したり温泉に行ったり、免疫力が低下しないように、前向きに暮らしている」

とアドバイスしていた。自分よりステージが上の人の言葉には説得力がある。がんは個人差が大きいので、人の話が自分に当てはまるわけではないと分かっているが、それでも励まされる。

経過観察の前は誰でも緊張する

がんと診断されると、普段考えていなかった死というものが、いきなり眼前に立ち現れる。猛スピードでやってきて自分の前で急停車する。そこで急に「乗れ」と言われても、「はい」と従うわけにはいかない。「何で私が? まっぴらごめん」と、腹を立て、抵抗するはずだ。

アメリカの精神科医エリザベス・キューブラー・ロスの有名な「死の受容のプロセス」(第1段階「否認」、第2段階「怒り」、第3段階「取引」、第4段階「抑うつ」、第5段階「受容」)を考えてみても、がんを自らのこととして受け入れるまでには、ある程度の時間が必要だと思う。

上のステージ4の男性が、「検査結果を聞くとき、結果が悪かったらどうしようと思う。いつも緊張する」と話すと、全員が口々に「私もそう」「みんな一緒」と頷いていた。結果を聞くまで生きた心地がしないのは誰もが同じ。自分だけじゃない。

そんな小さなことでも分かり合える人がいるというのは救いになる。だから今後も患者会にはできるだけ出たいと思っている。

第2の免疫チェックポイント阻害剤、キイトルーダ

ところで患者会では、スタッフから最新の治療法などが紹介される(コピーが配られます)。

特に肺がんは患者数が多いということもあるのだろう、次々と治療薬が開発されて承認を待っている状態で、今自分のがんに合う薬がなくても来年には出るかもしれない、というのはよく聞く話。

この日はオプジーボに続く免疫チェックポイント阻害剤、キイトルーダを紹介した資料をもらった(ふざけた名前だと思ったが、開発されたアメリカで命名されたそうだ)。

キイトルーダは日本では今年2月に発売開始となったが、この日初めて参加した人の家族(患者)が、すでに大学病院で試したという(残念ながら奏功しなかったそうだ)。

治療費の話は出なかったが、ネットを見るとオプジーボと同じくらい高額。少ししたら、また国の医療財政を圧迫云々というニュースが出てくるかも。資料には、さらに3つ目の免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験が進んでいるとあった。

オプジーボってもう処方する患者に年齢制限を設けているんでしたっけ? キイトルーダもきっとその方向にいくんですよね。滅多なこと書けないから最後はうやむやにしますが、この先どうなるのか、何かもう冷や冷やします。

→続きです。

2017年6月-2 経過観察-8 CEAが上昇
これまでの経緯です。 2015年9〜10月に名市大病院放射線科で定位放射線治療。以後、定期的に血液検査とCTの検査
ブログ村ブログパーツ

にほんブログ村 病気ブログ 肺がんへ

にほんブログ村 料理ブログ おうちごはんへ

スポンサーリンク
レクタングル(大)
レクタングル(大)

フォローする

コメント

  1. tonton より:

    >オプジーボってもう処方する患者に年齢制限を設けているんでしたっけ?

    国頭氏が75歳以上は使用制限を提唱しているあれですね?
    さすがにすんなり通るとは思えませんが、次々治療薬が出てきても素直に喜べない複雑な時代になったものです。

    患者会、一度も行ったことがないのですが、肺がんの平均年齢を考えると、年配の人が多そうで、毎日老親といるせいか、これ以上高齢者とは会いたくない…って、暴言です(笑)
    でもステージが上の人が元気で前向きなのは、励みになりますし、不安を自分だけじゃない、と分かち合えるのもいいですね。
    その会は最新の治療法をもらえる、しっかりした患者会でいいですね。

  2. クロエサト より:

    >肺がんの平均年齢を考えると、年配の人が多そうで、

    tontonさん、いつもいいアドバイスをありがとうございます! 確かにブログの文章だけだと伝わりにくいですよね。参加者の年齢層を追加しました。
    今回は60代の方がメインでしたが、男女比も年齢層も毎回異なります。どうしてか理由は分からないのですが。

    >その会は最新の治療法をもらえる、しっかりした患者会でいいですね。

    名古屋市とNPO法人が運営をしている組織ですが、ピアサポーターの方がとても熱心で信頼できます。がんの情報ってどんどん新しいのが出てくるので、きっと勉強するのも大変。それだけに使命感がなければできないはず。頭が下がります。

    >国頭氏が75歳以上は使用制限を提唱しているあれですね?
    さすがにすんなり通るとは思えませんが、次々治療薬が出てきても素直に喜べない複雑な時代になったものです。

    そうなんですよ。老患者は生き延びた、でも孫子たちは逃げ出して、国は滅びたってことになりかねない。早く手を打たないと、とんでもないことになりそうです。