再発で42%がうつ病等に
以前、エッセイストの岸本葉子と精神腫瘍医の内富庸介の対談集「がんと心」(文春文庫)を紹介しました。→「支える人-2」
その中で中富医師がこんなことを言っている。
「国立がんセンターで行った研究によると、がんを抱えられた方で、適応障害やうつ病などの“心の風邪”と診断される方がもっとも多いのが、再発を告げられたときなのです。たとえば終末期を調べると約23%程度なのですが、再発のときは、42%にもなります。」
4割以上! 私もその中に入っていると思う。
「初発の標準的治療を受けられて、後遺症や再発の不安を乗りこえようとがんばってこられて、そのときに知る悪いニュースですから。このころには、がんに対する知識もふえた分、否認もうまく使えず、楽観的態度が取れず、多くの患者さんにしてみれば、死をどうしても意識せざるをえない状況ですから。」
私は標準治療を受けていないが、同じ気持ちだ。
対談が2004年と14年も前なので、数字は今とは異なっているかもしれないが、内容的には大きく変わっていないと思う。
がんの再発(転移)の告知から治療、そして現在まで、気分が滅入ることが多かった。そのときの気持ちを言葉にしようとすると、当時の状況に向き合うことになり、しんどくて吐き気がした。書いてはやめ、書いてはやめの繰り返しで、いっこうに前に進まなかった。
でも、このブログは放射線治療について知ってもらいたいと思って始めた闘病ブログなので、再発と2度目の放射線治療について書かないと意味がない。そう気持ちを奮い立たせ、今後も飛び飛びとなりますが、書き綴っていきます。
8月1日、病院へ
7月の後半は仕事に没頭した。
何も症状がないのに、肺がんが再発したというのが不思議だった。2年前はいくらか(ばち指など)症状があったが、今回は全く自覚症状がない。
ごく当たり前の生活を送っていると、もしかしたらCEAの数値やPET/CTの画像は何かの間違いではなかったのか、悪い冗談ではないかという気がしてくる。
そんな(トンデモ)疑問も含めて質問メモを作り、8月1日、病院へ。暑くなりそうなので老猫のためエアコンを付けたまま家を出る。まずは採血のあと、CT検査室へ。
放射線治療の治療計画用CT
この日は3日から始まる放射線治療のための下準備。CTシミュレーション(治療計画用CT)といって、放射線をどこに当てるかを決めるために、単純CTと造影CTを撮影される。胸の真ん中と左右にマジックで十字を書かれ、シールを貼られて、位置が決められていく。
初め、上半身裸になりバスタオルで胸を覆って検査台に横になったら、検査技師さんにバスタオルを取られてしまった。一声かけられてからだが、ちょっと驚いた。
定位放射線治療のときはずっとバスタオルをかけたままだったので、そういうものかと思っていたが、通常分割照射だと違うのか。この技師さんだけなのか(どう聞けばいいのか分からず、質問できなかった)。
再発も転移も同じこと
次は診察室へ。担当医からは開口一番、
「仕事は終わりましたか?」
忙しくて治療を先延ばしにしたことを覚えていてくれたのだ(おそらくカルテに書いてあったと思うが)。
「はい、これから治療に専念したいと思います」と神妙に答える。
検査データがモニターに出てくる前に、いろいろ質問。
–前回あった腫瘍が消えているということはないんでしょうか。
「まず、ありませんね」
つれない答え。
–6月のCTでは影はなかった。7月のPETで見つかったのは、急に大きくなったせい?
「(4月や6月のCT画像を見せてくれながら)振り返ればそうだったと思う」
–進行は早いか。
「普通」
–今回、生検はしなくていいのか。
「PETと造影CTを見ると、ほぼ間違いない。腫瘍の位置的に気管支鏡検査も穿刺も大変。取れない可能性もある(だからわざわざ生検をする必要はない)」
前回の気管支鏡検査のごたごたを思うと、しなくていいというのはホッとする。→「2015年6月-6 気管支鏡検査」「2015年6月-8 気管支鏡検査の結果」「2015年7月-1 2回目の気管支鏡検査」
–脳のMRIは?
「肺の治療が進んだら、やってもいいかもしれない」
–同意書には「右肺癌リンパ節再発」とあるが、再発? 転移? 同じこと?
「同じこと」
再発と転移って一体何なのだ。この病院(この診療科、この医師)は特段、区別して使っていないということか。私の状態に限れば、区別をしても意味がないということか。何だかもうよく分からない。でも気にはなるので、棚上げにしておきます。
CEAが8.1に上昇
腫瘍マーカーのCEAはまた上昇。8.1になっていた(4月は5.6、6月は7.5。基準値は5.0以下)。
「これが下がるように頑張りましょう」
と励まされて、診察は終了。
仕事でずっと部屋にこもりきりだったので、病院からの帰り道、栄(名古屋の繁華街)でこまごましたものの買い物。栄は地下鉄を降りてから買い物全てが地下街と地下街からつながった商業施設ですんでしまうので、外の天候は気にしなくていい。
でも再び地下鉄に乗って近所の駅で降り、外に出ると、歩道の照り返しがすごい。家まで数分なのに、足が日焼けしてヒリヒリする。
この日の最高気温は34.6度。猫には酷な暑さだ。エアコンを付けておいてよかった。こんな日がしばらく続くのだろうな。
→続きです。
コメント
こんにちは
昨夜、今朝と読み継いで読了し貴ブログにお邪魔したら、まさに「がんと心」が記されていてシンクロしました!!
昨日歯科のあと半年ぶりで市民図書館に行きました。ノートにメモしたのは、①がんと心②体の贈り物③ピカピカのぎろちょん④ゆらぐ玉の緒」。①は2004/11/30の初版本が借りられ③は復刻本ではなく、なんと1971/12/10の第8刷を地下の書庫から出してきてくれました。④は予約し、②はなかったので、ネット通販か本屋さんでと思っています。インフルエンザが怖くて人混みを避けていますが、昨日は降雪後の悪路に人の出足の悪さを見込みましたが(カウンターに並ぶ人はいなかったものの)見慣れない団体さんがいて少しビビりました。
さて、「がんと心」は読み応えがありました。ひと昔前の発行ですが大変勉強になりました。再発後の治療の項では「仙台」の地名まで出てきたのが愛嬌でした(^-^) それから登山に例えられたこと。私は趣味が山登りで、2016/7月北アルプス遠征当日受けて行った健診で病巣が発見されたこともあり、身につまされました。手術で肺葉と肋骨2本を切除し、ザックを背負えなくなってしまったのが慚愧です、「ヤマレコ」というサイトにはマイページがあり、山行記が保存されていますが、今後加えることができるかどうかが嘆きの元です。
患者会への参加等も気持ちが動きませんでしたが、これからは出てみようと考えています。著書をご紹介いただいたおかげです。種々ありがとうございます。
それからお食事の品数にも驚かされています。朝食(半日絶食?)はおいてもボリュームに圧倒されます。私も少し真似しています。冬本番、くれぐれもご自愛くださいませ。 ― カイエより―
※時期は忘れましたが、私もばち指になったことがあります。
>「がんと心」は読み応えがありました。
本当に「なるほど」と頷いてばかりの内容でした。やる気のある医師や看護師ほど燃え尽きやすいという記述にはハッとしました。自分が患者のため患者サイドのことばかり考えがちですが、医療者にもいろんな人がいるという当たり前のことに気付かされました。
>「ヤマレコ」というサイトにはマイページがあり、
こういうサイトがあるんですね。低い山からでいいので、登山を再開できるといいですね。
>※時期は忘れましたが、私もばち指になったことがあります。
お仲間がいましたか! 周囲に一人も経験者がいないので、ちょっと心強い気持ちになりました(笑)。ばち指は、肺がんの治療をすれば治るといいますが、やはり手術後に元に戻ったのでしょうか。