神奈川県立がんセンターの集団退職
自分が通院している診療科の医師たちがある日、一斉にやめてしまったら。
「私の病気どうなっちゃうの? 治療は継続できるの? この病院、大丈夫?」と動揺するはず。
おそらく、そんなふうに患者を不安にさせたのが、神奈川県立がんセンター。昨年12月、放射線医師6人中3人が退職した。そのため新規患者の受け入れを12月15日から停止していたが、医師を増員できたとして今年2月1日から受け入れを再開するそうだ。しかし医師の一部は契約が3月末までのため、4月以降はどうなるか不明とのこと。
もし自分がここの患者だったら、不安と不信感に苛まれるに違いない。
重粒子線治療の将来性
神奈川県立がんセンターは重粒子線治療を行っている。そのため私は最初に一斉退職の話を聞いたとき、
「重粒子線の治療効果は通常の放射線治療と同程度。医師たちは重粒子線治療に将来性を感じられずに見限ったのか」と思った。
違いました。医師が一斉にやめたのは、パワハラがあったのにセンターがきちんと対応しなかったことへ不信感を抱いたためだそうだ。
そういえば2015年6月、鳥取県立鳥取養護学校の看護師6人が患児の親からのクレームで同時に辞表を出したことがあった。2016年3月には名古屋大学附属病院の救急科の医師9人が一斉に退職した。こちらは職場環境への不満があったとか、たまたま退職の時期が重なっただけだとか言われているが、結局よく分からずじまい。医療機関で一斉退職ってそれほど珍しくないのでしょうか。
こんなに建てて大丈夫?
それはさておき、粒子線治療(重粒子線治療と陽子線治療)は先進医療で保険適用外のため、治療に300万円程度かかる(一部保険適用になったがん種もある)。施設の建設費も莫大だし、維持費だって相当なものだろう。
それなのに、神奈川県立がんセンターは2016年度、12億7900万円の赤字だったそうだ。やはり重粒子線治療が高額で、思ったように患者数が伸びなかったためで、2017年度、2018年度はさらに悪化すると予想されている(「神奈川がんセンター、医師が次々退職の異常事態…重粒子線治療が存続の危機」より)。
日本の粒子線治療施設は今のところ16カ所。しかし現在、重粒子線治療施設を大阪と山形に建設中で、さらに岐阜と沖縄にも建設計画があるという。
採算取れるんでしょうか。赤字になったら誰が負担するのか。そもそも施設はこんなに必要なのか。
通常の放射線と陽子線と重粒子線、どれだけ違うの?
里見清一医師が「医学の勝利が国家を滅ぼす」(新潮新書)でこんなことを書いている。
「2016年のアメリカでの学会で、肺癌に対する陽子線と通常の放射線治療の比較試験の結果がテキサスのMDアンダーソンがんセンターから出されたが、効果も肺への副作用も、ほとんど違いはなかった。」
それならば、一般的に陽子線より優れていて治療効果も高いとされている重粒子線はどうか。
近藤誠著「何度でも言う がんとは決して闘うな」(文春文庫)に、「優位性が主張できない重粒子線治療」という見出しのあと、こういう文章がある。
「(重粒子線が有効とされるがん種は)陽子線治療対象がん種と重なってきます。つまり陽子線治療に従事している医者たちは、陽子線でも重粒子線でも結果は変わらない、と考えているわけです。/現に、陽子線装置と炭素線装置(重粒子線装置)の両方を備える兵庫県立粒子線医療センターでは、同一がん種を両方の装置で治療しています。そして担当医は、治療効果・副作用とも両者で明らかな差を認めていないと語っています。」
これ以上ハコモノを増やして、我々の税金で尻ぬぐいさせないでほしいものです。
(※素人の素朴な感想です)
2018年1月29日(月曜)
〇体重 49.4 〇BMI 18.7 〇体脂肪率 26.7
■朝
豆乳、野菜ジュース
■お昼
にゅうめん(ワカメ、ネギ、かにかま、天かす)、焼きもの(キャベツ、エリンギ、ブロッコリー。甘味噌)、納豆(卵、ネギ)
■お八つ
ココア。バゲット2切れ(チーズトースト、ジャム)、紅茶
■夕飯
2種類の味で楽しむお好み焼き(小麦粉、山芋、卵、削り節、ニラ、シメジ、イカ、天かす。しょうゆと酢と一味、ソースとマヨネーズ)、吸い物(インスタント。ネギ)、根菜の煮物(ゴボウ、人参、レンコン、コンニャク、ちくわ、昆布)
コメント
確かに自分のかかっている病院で頼みの医師たちが一斉にやめたら……考えると怖いです。
医療関係専門職の友人に言わせると病院の人間関係はストレスフルなんだとか。
千葉県にも放射線医学総合研究所病院があり、国立だから保険が効くのかと思っていました。
頭頸部がんには効果があるようですが、それ以外は専門家も通常の放射線治療に比べての効果ははっきりしないと言ってるようですね。
>これ以上ハコモノを増やして、我々の税金で尻ぬぐいさせないでほしいものです。
本当ですよね〜!
なんだか六ヶ所の核燃料再処理工場を思い出してしまいました。
あれも膨大な税金つきこんだのに完成のめどは立たないみたいですし。
>医療関係専門職の友人に言わせると病院の人間関係はストレスフルなんだとか。
辞めた医師たちも、患者に迷惑がかかるかもしれないという良心の呵責よりも、センターに対する怒り、不信感のほうが強かったんでしょうね。
>頭頸部がんには効果があるようですが、それ以外は専門家も通常の放射線治療に比べての効果ははっきりしないと言ってるようですね。
それなのになぜ施設を造り続けるんでしょう。政治家の人気取りか、企業の利権が絡んでいるのか。
>なんだか六ヶ所の核燃料再処理工場を思い出してしまいました。
確かに。私も高速増殖炉もんじゅを連想してしまいました。1兆2000億円かけたのに稼働日数は22年間で250日。重粒子線治療がそれほどの効果が上がらないとなったら、施設はどうなるんでしょう。