小ぶりの鯛を見ると、必ず思い出す一文がある。
「おもいがけない小さい鯛が波の間から、ぴかっとお膳へのっかった。」(幸田文著「父・こんなこと」(新潮文庫)より)
露伴の祝い膳
戦後2年目の昭和22年、寝たきりとなった幸田露伴を娘の文や孫の玉らが世話をしている。7月23日、露伴の誕生日、文は例年のように祝い膳を出そうとするが、時節柄何もかも不足している。
魚屋に立派な尾頭付きをと念押ししたのに、届いたのは6〜7寸の中鯛で、文はこんなものを出したら父に怒られると気が気ではない(露伴は食通で、食べるものにうるさかった)。しかしその鯛を見た露伴はにこにこと笑っている。きっと父は子供の頃、母からこんなお膳を出されたのだろうと文は想像する。
露伴はその母から愛されず、文もまた露伴から愛されない子供だった。親から愛されたいと願っているのにかなわない辛さ。文はそんな父親にずっと反発し続けてきたが、鯛を見ていつまでも笑っている露伴を目にして、父にしみじみ詫びたいと思う。その契機となったのが、「おもいがけない小さい鯛」だ。
露伴は箸を付けなかったので、その鯛は母子と二人の使用人合わせて四人で分けたとある。露伴は7月30日に亡くなっているので、死の1週間前のエピソードだ。
5寸の鯛
さて、うちの今夜の食卓にのっかったチダイは15センチ程度なので約5寸。中鯛どころか小鯛です。でも一人で食べたので、文たちが一人ずつ口にしたのと同じ分量くらいかな。
そんなことを思いながらいただきました。波の間からわざわざ来てくれてありがとう。
(露伴の祝い膳の鯛がマダイかチダイだったかは不明)。
2018年2月7日(水曜)
〇体重 49.6 〇BMI 18.8 〇体脂肪率 26.6
■朝
豆乳、野菜ジュース
■お昼
うどん(乾麺80グラム。干しシイタケ、ワカメ、ネギ、ちくわ、天かす)、シメジとブロッコリーとチリメンのアヒージョ(マジックソルト、ニンニクオイル)、サラダ(セロリ、小豆。岩塩、黒胡椒、オリーブオイル)
■お八つ
ココア、クラッカー
■夕飯
雑穀入りご飯100グラム、フカヒレスープ(シメジ、小松菜、卵)、チダイのスパイス焼き(アスパラガス)、根菜の煮物(ゴボウ、人参、レンコン、コンニャク、ちくわ、昆布)、梅干し、海苔