2度目の放射線治療は33回(1回2グレイを33回に分割して照射)。土日、祭日休みだがお盆休みはなし。
今回は毎回、治療後に看護師の面談を受ける。ただ担当医の診察日(火曜)だけは、医師の診察を受けることになっている。
8月3日(木)治療初日
初日なので、治療前に看護師と面談。30代前半か、きびきびした印象の女性。えんじ色のナースウェアで下はパンツスタイルのせいかもしれない。
診察室と廊下をはさんだ小部屋で、現在何か症状があるか、2年前の定位放射線治療のとき体調が悪くならなかったかなど聞かれる。
今は咳も痰も出ておらず、何の症状もない。2年前、定位放射線治療を受けたときは、身体がだるくてよく横になったり、足首が腫れたりしたが、医師にその都度訴えても取り合ってもらえなかった話をする。
今回は治療が3分の2、つまり22回終わった次点で、照射範囲を見直すとのこと。その1週間前にCTを撮って、効果が出ているようなら照射範囲を狭めるなど検討するそうだ。
こちらから質問。
治療がしんどくなったら入院できるのか。念のため聞いてみる。
すると、肺がんは通院だけの患者が多いが、頭や喉、前立腺などのがんは、吐き気や痛みなどの副作用がひどく出ることがあり、入院する患者もいるとのこと。
放射線治療は数分で終了
放射線治療室へ。上半身の服を取り、タオルで胸を覆って治療台へ。
一昨日(1日)はマジックで胸に十字を書かれたが、あれはCT用。今日は放射線治療用として、放射線を当てる範囲をマーキングされた。鎖骨の少し下、肺門部のリンパ節と縦隔リンパ節をカバーする8センチ×8センチのいびつな形。脇の下にも位置合わせのための十字を書かれた。胸や脇のあいたトップスだと黒いマジックの線が見えてしまう。しばらくは着るものを選びそうだ。
バスタオルは取られたまま。今回の治療はずっと上半身裸だった。こういうものだと思っていれば、特に気にならない。
放射線技師たちが出てゆき、治療室には自分一人。小さな音量でクラシック音楽が流れている。2年前と同じ部屋なのに、以前も音楽が流れていたか記憶にない。
放射線はまず胸の真上から、次にアームが180度回り、背中から当てられる。わずか数分。定位放射線治療に比べて、拍子抜けするくらい早い。あっという間に終了。
技師たちが入ってきて、マジックで印を付けた部分を写真に撮られる。治療の確認用のためだそうだ。今後何か異常が出たときのために、最初の状態を記録しておくのかもしれない。
帰宅後、テレビを見ると、気象予報士が「今が1年で一番暑い時期」だと言っていた。でもこの日は風がある分、エアコンは使わずにすんだ。これからの長い通院を考えると、これくらいの天気だとありがたい。
8月4日(金)2日目 「看護計画」の説明を受ける
治療後、昨日とは違う看護師と面談。
「看護計画」というA4二枚のペーパーをもらう。放射線治療の目的、表れるかもしれない症状、普段の生活で気を付けることなどがまとめてある。
治療10回目前後で体調を崩す患者さんがいるそうだ。早い人は4回目くらいから。放射線を当てた患部が赤くなったり、ピリピリしたり、寝込んだりすることもあるらしい。
私が放射線治療を受ける位置は胸の上のほうなので、胸焼けしたり、食道や粘膜に負担がかかる可能性もあるとのこと。ただ、どんな治療でも個人差が大きいので、何も症状が出ない人もいれば、ひどい人もいるそうだ。
入浴は放射線を当てている部分をゴシゴシこすらないこと、お湯に長く浸からないこと。患部が熱を持ったり、マジックの線が消えてしまうため。当分シャワーだけになりそう。
私は生来の汗っかきで、この時期は制汗剤が欠かせない。ただドラッグストアの店頭に並んでいる大手メーカーの商品じゃなくて、ミョウバンの固まりだったり、粉末のミョウバンを溶かした自作のスプレーだったりするが。
看護師に聞くと、制汗剤はマーキングにかからない位置なら使ってもいいとのこと。
お酒についても聞いたが、アルコールは控えておいたほうがいいそうだ。
治療を終えて病院を出るころには、身体がだるく、しんどかった。帰宅後、疲れてソファに横になったらすぐ寝入ってしまった。暑い中を歩くのはそれだけで体力を消耗する。そのせいか、あるいは治療のせいなのか。
扇風機の風に当たっていたせいか喉が少し痛い。これも放射線のせいだったらどうしよう。ああ、また放射線の副作用かもしれない症状に怯えなければならない日々が続く。
8月5日(土)6日(日)治療は休み
7月末に扇風機が壊れた。ほかに2台あるのでやりくりしていたが、連日20時間以上フル回転させているため危なっかしくて、5日にアマゾンで注文。翌6日には届いて、いつもながらその早さに驚く。
日曜に弟へ用があって電話。
肺がんの予後について聞かれたので、再発した旨伝える。
驚かれるでも、嘆かれるでも、なぐさめられるでもなく、いつもながらの坦々とした口調で、「何かあったら力になるから」と言われて心強い。
それから母へ電話。毎週日曜は母へ定期的に連絡をしている。様子伺いだ。
5時半なのにこれから夕食とのこと。まだ外は明るいのに病院並みの早さ。体調は悪くないようで安心する。私の肺がんのことは伝えていない。
8月7日(月)3日目 患部にわずかな赤味
治療後、看護師と小部屋で面談。
面談室は4畳くらいの広さで、間口が狭くて奥に長い。片方の壁にパソコンの乗ったデスクが並んでおり、その前に3客ほどの椅子がある。看護師は奥、私はドア近くの椅子に座る。ドアにはカーテンが下がっていて、患者が部屋に入ると、看護師は患者の横をすり抜けるように回り込んでカーテンを閉じる。
患者が衣類をめくったりして患部を見せることがあるので、これなら誰かが外から急にドアを開けても中の様子は分からない。
この日は、襟ぐりを下げて胸と背中を見てもらった。放射線を照射している部分が少し赤くなっているそうだ。朝晩、着替えるときに上半身を鏡に映しているが、自分では気付かなかった。自覚がなかったが、病院の蛍光灯の下ではそう見えるのかもしれない。
体調には大きな変化なし。それより病院への往復でくたくた。普段あまり外へ出ないので、毎日同じ場所へ出かけるだけでストレスがかかる。心身ともになまっていることを自覚する。
→続きです。