8月8日(火)4日目 医師の診察。リニアックより楽かも
台風一過で風の強い一日。そのおかげでエアコンなしで涼しく過ごせた。
治療を受けている病院には二つの放射線治療室がある。治療時間が短い通常の放射線治療は早めの時間に、時間のかかる定位放射線治療は、遅い時間に患者を配分しているそうだ。
受付をすませて治療室の前に行くと、いつも数人の患者が待っているが、予約時間からそれほど遅れることなく治療室に入れる。しかしこのころ、秋に新しい機械を入れるため一部屋が工事中で、片方しか稼働していないせいか、この日は10分以上待たされた。
火曜日は放射線治療後、担当医の診察。
「どうですか」と聞かれ、「以前のリニアックのときは帰宅してからよく寝込んでいた。それを思えば、こちらのほうが楽」と言うと、「変だね」と、いぶかしげな表情。
これからきつくなってくるのだろうか。不安。
今回の放射線治療は15日くらい続けたあと血液検査を行う。腫瘍マーカーの数値次第でCTを撮り、その結果によって治療を変更することもあるそうだ。初日(3日)に看護師から聞いた話と大体同じ。
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夜、仕事の打合せで外出。
風通しのいいトップスだと胸や脇のマーキングが見えてしまうので、服を選ぶのに苦労する。首や袖が詰まった服だと絶対に汗まみれになってしまう。そのため外出するときは風通しのいい衣類を選び、リネンのカーディガンを羽織ったり、ストールを巻いていたが、粗めに編まれたリネンでも、暑いものは暑い。
気を抜くとストールがずれてマジックの線がチラリとのぞいていることがあり、入れ墨のように見えるんじゃないだろうかと気が気ではない。
8月9日(水)5日目 患者会の参加者
地下鉄を降りて病院の表玄関に向かっていると、前から見覚えのある顔が。
誰だっけと思っているうちにすれ違ったが、すぐに、そうだ、肺がんの患者会で会った人だと思い出し、声をかけようと振り返ったが、スマホで電話をかけ始めていたのであきらめた。
腕の内側に注射跡のテープを貼っている。抗がん剤治療を終えて帰るところだったのだろう。
肺がんの患者会では、なぜかこの病院に通院している人が多い。ただし診療科は外科、内科、放射線科といろいろ異なるが。
この日の最高気温は34.4度。ストールをしていると首に熱がこもって気持ち悪くなってくる。しかし病院の周囲を見回すと、暑くてもハイネックや長袖の服を着ている人がいる。
もしかしたら彼らも放射線治療を受けており、マジックの印を隠そうとしているのかも。
治療後、看護師にそんな話をすると、口や喉に照射している患者さんは、専用のマスクを装着して照射するそうだ。一昨年、リニアックのために固定具を作ったが、ああいうものか。(→「2015年9月-6 (14日-4)リニアック、固定具作り、胸に印を付けられる」)
あとから考えれば、けがや皮膚の疾患で素肌を出したくない人は長袖を着るはず。自分の身に引き寄せてしかものを考えられない、了見の狭い人間だと反省。
8月10日(木)6日目 胸のマーキングのライン
連日暑い。放射線治療が終わったあと、放射線技師にマジックについて質問と提案。
「マジックの色は黒だけですか。黒だと目立ちすぎて、衣類の生地が薄いと透けて見える。なるべく肌の色に近い茶色とかで書いてもらえるといいのに」
うるさがられてもいいので、一応「患者の声」を言っておく。
夜、レンタルしていたDVDの「シン・ゴジラ」を見る。評価が高いので期待していたのだが、面白さがまるで分からない。もともと怪獣ものに関心がないせいか。
8月11日(金)〜13日(日)治療は休み
11日は山の日で祭日のため、15日まで5連休、20日まで10連休という人もいると思う。でも病気、けがは待ったなし。病院は通常通り。
11日は昼過ぎから豪雨。蒸し暑い。レンタルDVDの「ジェイソン・ボーン」を見る。マット・デイモン主演のボーン・シリーズは全作見ているが、間が空きすぎて以前のストーリーが飛び飛びでしか思い出せない。それでも、孤独から逃げることなく闘い続けるボーンの姿にいつも勇気付けられる。
12日は買い物、料理の作り置き。夕方、疲れて横になる。治療か暑さのせいで疲れやすくなっているのか。もとからこうだったのか。
13日は友人と徳川美術館へ。大学の国文科で古語を学んでいたそうで、戦国武将の手紙が少し読めるとのこと。外国語が分かるのもいいけど、日本の昔の文書が分かるのもうらやましい。
8月14日(月)7日目 患部の赤味が増す
治療後、面談室で看護師に患部を見せると、また少し赤くなっているとのこと。治療が終わって治療台から起き上がると頭がフラーッとする。立ちくらみか、めまいか。
帰宅後、疲れて眠る。夜、シャワーの前に洗面所で見ると、胸の放射線を照射している部分が確かに赤い。少しずつ赤味を増している。
しかし暑い。このころ、トップスはノースリーブの麻のブラウスか布帛のタンクトップ、それにカーディガン、ストールというスタイルで通院していたが、ふと思い付いて、ブラウスを前後逆に着てみた。
普通、襟ぐりは背中のほうが浅いので、逆に着ると首もとが詰まることになる。鏡に映すと、胸のマジックの線が隠れる。これならストールは要らない。明日からはこのスタイルで通院することにする。
8月15日(火)8日目 医師の診察
今日は担当医の診察日。
「治療して帰宅後、疲れて1、2時間眠ってしまう」と話すと、「そういうこともあります」とのことで、許容範囲らしく、特に問題視されなかった。胸の赤みも見てもらうが、心配ないとのこと。
首の触診があったが、これも異常なし。首のリンパ節が腫れることがあるのだろうか。
通院するときはいつも麦茶を詰めたラーケンの350mlの水筒を持っていくのに、今日はトートバッグに入れてくるのを忘れてしまった。(→「マイボトル(ラーケンとナルゲン)」)
でもこの日の最高気温は27.2度と低く、小雨も降ってこたえる暑さではなかったので、途中でお茶を買うまでもなく家まで戻ることができた。
8月16日(水)9日目 通院の持ち物リスト
何でも慣れたころにポカミスをする。昨日は水筒を忘れたが、今日はメガネを間違えてしまう。
部屋では中近両用、外出時には遠近両用と使い分けているが、病院へ行くのに中近両用で出てしまった。地下鉄の中で「しまった!」と焦ったが、遠くが少しぼんやりする程度で、歩きにくいというほどではない。
逆に外出時に本を読むときは、遠近両用だと見づらくて、いつもメガネを外して裸眼で読んでいる。中近だとそのまま読めていいかも。
念のため、夏の通院に必要な持ち物リストを作成。
・診察券 ・財布 ・クレジットカード ・マナカ(交通系ICカード) ・本(文庫か新書) ・携帯電話 ・リネンタオル(汗拭き用) ・ハンカチ ・水筒 ・日傘 ・メガネを代えること
(ティッシュや歯ブラシなどポーチに入れっぱなしのものは記載せず)
帰宅後、3時から6時半頃まで横になる。身体の底に疲れがどんどんと沈殿していくようだ。
→続きです。