和顔施
1月23日(火)
2017年9月の放射線治療終了後、10月、11月に続いて、3回目の経過観察。この頃は、たまに咳込むのが気になっていた。寒さのせいか、放射線肺炎のせいか。
診察室に入ると、担当医は血液検査の数字を見ていたが、こちらに笑顔を向け、
「心配してたけど、良かった。前はいくつ(CEAの数値)? 2.5。今回は2.8。じゃあちょっと上がったけど、基準値内で問題ない。良かった」と喜んでくれた。
異常が見つからなかったことの安堵感と医師の笑顔で、喜びは何倍にもなる。仏教に「和顔施(わがんせ)」という言葉があるが、医師の笑顔はこちらの緊張した心持ちを溶かして安心感を与えてくれるようだ。
再々発するなら、どのくらい先か
ほかの数値も問題なし。それからCTの画像を見ながらの説明。放射線を当てたところが白く渦を巻いて、まるで宇宙の銀河のように見える。
「白いのは線維化しているもので、順当な経過」とのこと。
–咳が結構出る、放射線肺炎のせいですか。
「もう収まってもいい頃。ただ、慢性炎症で一生、咳が出ることもありうる」
一生なんていうことがありませんように。さらに質問。
–今後また再発があるかもしれないとしたら、いつぐらいか。
「今回の再発が目安になる。今回は2年弱で再発。次になるなら、それくらい。1〜2年は心配」
–次に再発したら、何もできなくなるかもしれない。今のうちにしておいたほうがいいか。
「そんなこと考えなくても、体調がいいならやっておけばいい」
–また再発したら、積極的な治療を受けたくない。その場合、経過観察だけでもしてもらえるか。
「治療ができるのに、しないのはもったいない」
医師の顔が曇る。
–放射線治療はしたい。でも腫瘍の位置によっては照射ができず、抗がん剤しか手段がないかも。その場合、抗がん剤は受けたくない。呼吸器内科へ行かず、ここで見てもらえるか。
「抗がん剤を受けたくないという人はいる。経過を見て、最後は緩和を紹介することもある」
ここで治療を受けないなら(別の医療機関へ行くなら)、ここでの治療は終わりという医師もいると聞く。担当医がいい医師でよかった。
次の経過観察は2カ月後と言われたが、やっぱり矢継ぎ早のCTは心配なので2カ月半後にしてもらう。
血液検査とCT検査についてのメモ
血液検査は結果が出るまで時間がかかるので、採血へはいつも診察予約時間の2時間くらい前に行く。
この日、採血をしてくれたのは若い男性スタッフ。いつもは女性ナースなので男性なんて珍しいと思って聞くと、検査部のスタッフで、最近は男性も多いという。
左肘の内側の注射あとにシール(絆創膏)を貼った後、普通は右手の指で押さえるが、肘を曲げて5分間じっとしているだけで同じ効果があると教えてくれる。なるほど、これなら右手の自由が利いて助かる。
CT検査の予約時間は診察の15〜40分くらい前に設定してある。撮影後、画像データはすぐ放射線科へ送られるので、診察の直前でもいいと聞いていた。
この日、CTの待合室は混んでいて、予約時間を15分過ぎてから撮影。「でもデータを転送するだけだから大丈夫ですよね」とCT検査室のスタッフに確認すると、「画像診断(コメント)がいつになるか分からない」とのこと。
そうか、これだけ大勢の患者のCT画像を放射線科医が確認しているのか。大変さをおもんぱかると共に、遅くなってもいいから、ちゃんと見てねと祈った。
CTが遅れたせいか、この日の診察は予約時間の20分遅れで始まった。
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