里見清一『「人生百年」という不幸』

肺がんが専門の呼吸器内科医で評論家の里見清一医師の最新刊です(新潮新書。2020年1月)。

ブログでちょくちょく紹介している、やはり医師で作家の久坂部羊の意見に賛同する記述が2度も出てきて驚いた。この2人と、やはり私が信頼を置く近藤誠医師との3人による鼎談を聞いてみたいものだと思うのだけど、そうなると長生きの弊害という話題は必ず出てきそうです。

長生きの先に待っているもの

100歳まで生きたい? と問われれば、自分のことは自分でできて、健康でお金もあればいいかもしれないけれども、下手に病気になったらとんでもない目に遭いそうだ。

例えば、飲食が難しくなって病院にかかったところ、誤嚥性肺炎を防ぐために「酸素吸入や点滴は言うに及ばず、胃瘻を設け、もしくは高カロリー輸液をして、(略)本人が嫌がって管を抜かないようにと、手足の抑制も行う。(略)患者は10年間寝たきりで、5年間一言も発していない。」

「癌を治して長生きをする。それは良いことなのだろうが、手放しで素晴らしいと言えるのだろうか。(略)久坂部羊先生は、高齢者の在宅医療をやってこられたが、長生きされた超高齢者を診て、『羨ましいと思ったことは一度もない』と断言されている。」(いずれも本より引用)

現代医療は「死なせない」ことが目的になっているので、近未来の「人生100年時代」社会では、病院にも地域にもこうした高齢者があふれ、医療費と介護費用を湯水のように使っているかもしれない。

医療の世代間格差

「救命救急センターに搬送される患者は高齢化し、現在は70代が最多だそうだ。もうすぐ9割の患者が高齢者になり、子供や若者はそれに弾き出されて収容できなくなると懸念されている。」

そして、今は何とか持ちこたえている「高額療養費制度」(私も利用させていただきましたが)もこの先さらに利用者が増えれば、遠からず破綻しても不思議ではない(早晩、財源は尽きるはず)。

そうなると、今の子どもや若者が大人になるころは、現在のような医療を受けられない(受けられても高額)かもしれない。とすれば、子どもや若者にとって、その原因を作っている現在の高齢者は、自分たちの未来を搾取する敵ではないか。

新型コロナをめぐる世代間対立

そんなふうに思ったのは、数日前テレビのニュース番組で新型コロナウイルスに関するこんなシーンを見たため。

新型コロナは子供や若者は発症しても自覚症状がなく、知らず知らず高齢者にうつしてしまうことがある。一方、高齢者はいったん発症すると重症化しやすい。そこで、感染者が増加して外出自粛要請が出たとき、若者は「高齢者は家でじっとしていろ」、高齢者は「若者は外に出てくるな」と互いを責める言葉を吐いていた(編集で多少印象操作をしていると思うけど)。

こんな世代間対立が起きているんだ。もしかしたら、新型コロナは怒れる若者が高齢者を淘汰しようと作り出した人工ウイルスじゃないのかと、ついSFめいたことを考えてしまった。

数日前から、新型コロナは高齢者だけでなく子どもや若者も発症しやすいと言われるようになってきて、私の空想は見当外れだったと分かったわけですが。

オプジーボが効いた患者さん

本にはオプジーボの話も出てきます。

2018年10月に本庶祐先生がノーベル化学賞・医学賞を受賞したとき、テレビ局から里見医師に、オプジーボを使って元気になった患者を翌日の放送で出したいので紹介してほしいと電話があったそうだ。里見医師は急な依頼で対応できなかったが、テレビ局は別の患者を見つけて来て放送した。

しかし、「なかなか『理想的』なケースを短時間でつかまえるのは難しかったようで、いずれも80代の老人であった。本当は壮年の患者で、この薬で病気を克服してバリバリ働いている、という人ならなお良かっただろうに。」

ここを読んで笑ってしまった。当時、私もテレビでオプジーボで健康を取り戻した90代の男性を見て、「この人を生かし続けるために一体どれくらいの健康保険料が使われているのか」と腹を立てていたせいだ。※記事にしています。→「オプジーボのモヤモヤ

そうか、末期がんだったがオプジーボで生還した30〜40代だったなら、印象は全く違っていたはず。目に見えるものだけで物事を判断してはいけないと今さらながら反省したのでありました。

※以前、里見医師の本を紹介しています。→「里見清一「見送ル」─がんセンター医師の半自伝

2020年4月3日(金曜)

〇体重 51.3 〇BMI 19.4 〇体脂肪率 28.1

■朝

豆乳、野菜ジュース

■お昼

お好み焼き(小麦粉、卵、山芋、削り節、ニラ、マイタケ、アサリ、天かす。醤油、酢)、吸い物(ワカメ、ネギ、豆腐、かまぼこ)、大根とコンニャクの煮物

この1枚でニラは1/2把ぐらい。むきアサリは刻んで混ぜ込んでいます

■お八つ

コーヒー、飴

■夕飯

雑煮(切り餅2個。干しシイタケ、エノキ、ほうれん草、かまぼこ)、クリームコロッケとイカリングフライ(ブロッコリー)、サツマイモのグレープフルーツジュース煮、はっさく

2020年4月4日(土曜)

〇体重 51.7 〇BMI 19.6 〇体脂肪率 28.3

■朝

豆乳、野菜ジュース

■お昼

スパゲティ・アラビアータ(乾麺70グラム。ガーリックオイル)、サラダ(フリルレタス、タマネギ、ニンジン、うずら豆、ちりめん、ブロッコリー、トマト、ゆで卵、くるみ、グリーンオリーブ。岩塩、黒胡椒、オリーブオイル、バルサミコ酢)

■お八つ

コーヒー、飴。抹茶、クッキー

■夕飯

お好み焼き、味噌汁(サツマイモ、ワカメ、エノキ、豆腐)、大根とコンニャクの煮物

※お好み焼き、今日は醤油とソースの2つの味で食べ比べ。どちらも捨てがたい味です。

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コメント

  1. tonton より:

    この本は知りませんでした。
    もし里見、久坂部、近藤の三氏が対談したらどうなるんでしょう?(医療に対して)信じていたものが根底から崩れそうで怖い気もしますが(笑)、実現してほしいですね。

    世代間対立は悲しいですよね。
    私が子供の頃(昭和40年代)の平均寿命ってまだ60代だったんですね。それが今や女性は90近い。反面子供は減り続けている。
    資源は未来(=子供)に投資するべきと思うけれど、年寄りが邪魔者扱いされるのも悲しい。
    何はともあれ、高齢者に対するムダな延命処置や治療はさっさと止め、コロナに限ってもそれは同じと思います。重症者に人工呼吸器が必要なら若い人優先で、高齢者だって文句はないと思います。
    今は年寄りにお金かけすぎだから、若い人からのバッシングも出るのかもしれません。”お金はかけないけれど年寄りには優しく”っていうのが、社会の空気になればいいなぁと思います。

    • クロエサト より:

      この本、週刊新潮の連載コラムをまとめたものだそうです。最近は全く週刊誌を読まなくなったので、私も知りませんでした。

      >重症者に人工呼吸器が必要なら若い人優先で、高齢者だって文句はないと思います。

      里見医師も同じことを書いています。私もそう思う。
      大多数の高齢者もそうだと思うけど、でも、いざ自分が死に直面すると、どんなにお金がかかってもいいから助かりたいと思ってしまうかもしれない。まあ、自分のお金を使う分には幾らでもやってくれですが、他人(国)のお金をざぶざぶと使われるのはたまらないわけで。
      苦痛しか待っていない無理な延命治療はやらないというのが社会のコンセンサスになるといいですよね。