新型コロナの市中感染が徐々に拡大
3月10日(火)
新型コロナウイルスの感染拡大により、日常生活にも徐々に影響が出始めていた頃。
2月28日からディズニーランドとユニバーサル・スタジオ・ジャパンが休園となり、感染者が増加した北海道では緊急事態宣言が出された。3月2日からは全国の小中高等学校が臨時休校となり、8日からの大相撲春場所は無観客開催となった。
生まれて初めて体験する異常事態。得体のしれないウイルスは怖かったが、がんの再発転移を見つける機会を先延ばしにするのも同じくらい怖かった。
そのため月末に予約していた歯科医(3カ月ごとのメンテナンス)はキャンセルしたが、肺がんの定期検査へは粛々と出かけたのでありました。
体重は減っていないので(むしろ増えている)再発転移はないと思うが、こればかりは結果を見ないと分からない。もし転移していても放射線治療ができればと願う。
血液検査と問診
病院の入口を進むと、外来患者はいつもより少なかった。新型コロナの院内感染を恐れている人が多いことを実感する。
通常、採血はしばらく待たされるのに、この日は待っている人はゼロ。待合室の椅子に座ったら、すぐに番号を呼ばれた。
私は針を刺したところからたまに出血し、血が止まらず慌てることがあるのだけど、この日、看護師は針を抜いた後に円形のクッション付きのシール(絆創膏)を貼ってくれた。さらに幅4センチくらいの肌色、光沢のある布テープを肘に一周、ぎゅっと巻いてくれた。
こうすると出血しないそうだ。以前、出血したことが記録に残っているんだろうか。シールを抑え続ける必要がないので、ありがたい。
採血の後、院内のコンビニへ。滅菌ガーゼとマスクを探すが、どちらも完売。市中のドラッグストアなどではすでに入手困難になっており、もしかしたら病院なら……と思ったが、大甘だった。
CTは年に1回
放射線科の待合室では2人待っていたが、こちらもすぐ名前を呼ばれた。採血からわずか1時間。血液検査の検体数が少ないため、検査時間も短くすんでいるのかもしれない。
診察室に入ると、担当医はモニターの数字を見ていた。私はマスクをしておらず、話すときはハンカチを口に当てていた。医師もしていなかったと思う(ちょっと記憶が曖昧。マスクがマストになるのは、もう少し先)。
あいさつの後、医師からCEAは3.0だったと告げられる。
「上がりました?」と反射的に聞くと、
「いや、前と同じ」
ほっとする。
次回(3カ月後)の定期検査も血液検査だけで、CT(前回は昨年9月)は1年後でいいでしょうとのこと。
私はがんができると腫瘍マーカーのCEAに分かりやすく反応するため、CEAが3.0なら、CTは年に1回で十分らしい。ただ、
「基準値(5.0)を超えなければ大丈夫ですか」と聞くと、
「そうともいえない。4.0になったら嫌な感じ」と言われる。
「嫌な感じ」という言葉がしみのように脳に張り付く。
とはいえ、まずは良かった。検査の数日前から悪い結果を想像していろいろなことが手に付かなくなるので、しばらくその心配から解放される(その間にも進行しているかもしれないけど、考え続けるのはしんどい)。
あとから、肺がんサバイバーは新型コロナで気を付けることはあるのかと医師に聞いておけば良かったと後悔する。
→続きです。