集計方法が「ネット・サバイバル」に変更
国立がん研究センターから、がんの5年・10年生存率が発表されました(3月16日)。
これまで算出していた相対生存率に代わり、今回から「ネット・サバイバル」という方法が採られているため、前回までの数値との単純な比較はできないようです。ネット・サバイバルとは「がんのみが死因となる状況」を仮定して計算する、国際的にも広く用いられている「純生存率」。「院内がん登録データ」をもとに集計されています。
全てのがんの5年生存率66.2%、10年生存率53.3%
5年生存率は、2014〜2015年の2年間にがんと診断された患者を対象に集計されています。私は2015年に肺がんと診断されたので、ちょうどここに当てはまります。
10年生存率は2010年に診断された患者が対象です。
全てのがんの5年生存率は66.2%、10年生存率は53.3%でした。
非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分けて集計
肺がん(非小細胞肺がんと小細胞肺がん)の5年・10年生存率(%)
今回、肺がんは非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分けて集計されています。
患者数の多い非小細胞肺がん(私もこれです)に限ってみると、5年生存率は47.5%、10年生存率は30.8%。肺がんの死亡数は全てのがんの中でも上位(2021年は男性1位、女性2位)のため、全体のがんの生存率(5年生存率66.2%、10年生存率53.3%)より低いのは仕方ありません。
とはいえ、がん、特に患者数の多い肺がんには、新たな治療法が次々に生まれています。今後肺がんの生存率はさらに上がっていくと思われます。
非小細胞肺がん(男女別)の場合(ステージ別・年代別)
非小細胞肺がんには、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどが入ります。
私は8年前に腺がんのステージ1Bと診断されましたが、2年後に肺内転移が見つかり、ステージ2になりました。表の2期の数字を見ると幾分、気分が沈みます。
でも、これはあくまでデータで、必ず自分に当てはまるものではない。参考程度に見ておきましょう。
非小細胞肺がんのステージ別5年・10年生存率(%)
非小細胞肺がんの年代別5年・10年生存率(%)
小細胞肺がん(男女別)の場合(ステージ別・年代別)
小細胞肺がんのステージ別5年・10年生存率(%)
小細胞肺がんの年代別5年・10年生存率(%)
・国立がん研究センターのプレスリリース。→「院内がん登録2014-15年5年生存率、2010年10年生存率集計 公表 ネット・サバイバルによる初集計」
・表の元のデータ。→「院内がん登録生存率最新集計値」「がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計報告書」
※数字の写し間違いがあったらすみません。自分に関するデータは自分で調べることをお勧めします。
※以前「肺がんの5年・10年生存率(2018年)」「肺がんの5年・10年生存率(2020年)」をアップしましたが、その時と今回とでは調査対象が異なります。
以前のデータは、がんセンターなど全国32施設が参加する全国がんセンター協議会の「全がん協生存率調査」をまとめたもの。腺がん、扁平上皮がんなど肺がんの種類によって細かく数字を出すことができました。
今回の「院内がん登録データ」は、がん診療連携拠点病院等の施設から上がってきたデータが対象。5年生存率は2014〜2015年に診断された約94万人(全国447施設)、10年生存率は2010年の約34万人(316施設)の症例から算出されています。
現在見られるデータは簡易版のようで、今年5月以降さらに詳しいデータが「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」へ追加されるようです。