2人の乳がん経験者
乳がんについてネットや本では情報を収集していたが、実際に経験した患者からも話を聞きたかった。
そこで乳腺クリニックへ行った翌日、名古屋市がん相談・情報サロン「ピアネット」へ電話をした。ピアネットは肺がんの時にも、ピアサポーターへ相談、患者会の参加など何度か利用させてもらったが、他の患者さんの経験談を聞ける貴重な時間を過ごすことができた。
たまたまタイミングが合い、次の土曜日に2人の乳がんサバイバーから直接話を聞かせてもらえることになり、出かけた。
一人はがんセンターで全摘手術、もう一人は大学病院で乳房温存手術を受けたそうだ。共に手術は10年以上前だが、一人は現在も乳腺クリニックへ定期検査に通っているという。
乳がん患者はどういうふうに治療方法、医療機関を選んでいるのか知りたかったが、特にセカンドオピニオンを求めることはなく、最初にかかった医師に勧められた治療法に従ったそうだ。
乳がん告知に続いて手術という突然のことを受け止めるのに精いっぱいで、術後に放射線治療、抗がん剤治療があることを認識しておらず、治療がこんなに長引くとは想定外だったとか、胸の痛みがひどくなって我慢できずに手術を急いでもらったとか、術後に満員電車に乗るのが怖かったとか、当事者ならではの体験談を聞くことができた。
乳がんで体重減少は聞かない
疑問に思っていることを質問した。乳がんでは体重が減少することはないそうだが、私のようにやせる人はいないのか。最初から放射線治療をするケースはあるのか。
すると、乳がんで体重減少は聞いたことがない、逆に1人は体重が増えたそうだ。また、腫瘍を小さくするため手術前に放射線を当てることはあるが、最初から放射線治療だけというのは聞いたことがないと言われた。『がん治療のフロンティア』も見てもらったが、2人共知らなかったということだった。乳がんの患者会でも、聞いたことがないという。
最後に、私が乳腺クリニックで全摘を勧められていると言うと、2人はそのクリニックを知っており、あの先生は外科の先生だから手術を勧めてくるはず、などなど医師の評判まで教えてもらった。先輩患者の生の声を聞くことができて、ありがたかった。
友人には伝えていない
乳がんサバイバーの友人にも相談しようかとも考えたが、結局しなかった。
がん患者は自分が受けた治療がベストだと思いがちなので、全摘手術を受けた彼女から手術を強く勧められて気まずい雰囲気になったらどうしよう、もし言うにしても今の段階じゃないよね、などと迷っている間に時間ばかりが過ぎてしまった。
他の友人たちにも言わなかった。肺がんの時、知人に罹患したことを不用意に伝えたところ、変に騒ぎ立てられて不愉快な思いをしたことがあるので、そんな思いを再び味わいたくなかった。
下の記事の「カミングアウト失敗談」に書いています。