再度、ピアネットへ
身近な人に話を聞けないか。
そうだ、水曜日は名古屋市がん相談情報サロン「ピアネット」(名古屋市とNPOが運営しているがん患者のためのサポート組織)で、がんサバイバーに肺がんについて聞ける曜日。→(「2015年8月-18 がんサバイバーに相談」)
当日(7月12日)の朝一番に電話をすると、すぐに来てもらってもかまわないとのこと。曇天の下、検査結果の資料やメモをバッグに入れ、自転車を走らせる。
相談に乗ってくれたのは、以前と同じピア氏。
10年前に腎臓がんが肺に転移し、名古屋市のF病院でノバリスによる放射線治療を受ける。しかし4年前、肺に再発し、別の大学病院で手術を受けて今に至るそうだ。ピア氏がノバリスで治療を受けたときの医師が私の現在の担当医なので、話が早い。
納得できるまで話を聞くべき
–通常照射で33回と言われた。本などで見ると30回が普通のようだ。多すぎでは?
「普通。30回ちょうどというのが珍しい」
–治療の同意書には「再発」と書いてあった。「転移」ではないのか?
「同じこと。気になるなら自分が納得できるまで聞いたほうがいい」
–昨日説明してもらったばかりなのに、そんなこと頼んでいいのか。
「あの先生なら時間を取って説明してくれるはず」
そして、
「クロエさんは最初の定位放射線治療も自分が納得して受けたから、今回の再発も後悔はないでしょう?(次の治療についても)しっかり聞くべき」
いや、ホントは再発しないのが一番だったのですが。
それから、「局所再発か遠隔転移かどちらなんでしょう、読んでもよく分からなくて」と、新書の「がん治療で殺されない七つの秘訣」を取り出したら、それまでのピア氏の柔和な表情が瞬時に凍り付いた。
「相変わらずいい加減なことばっかり書いてる!」
逆鱗に触れてしまった。ピア氏にとって近藤誠は鬼門でした。
もしかしてピア氏は標準治療(手術)を選ばずに、近藤医師の考えに従った私を暗に責めているのかも、それみたことかと思っているのかも、という被害妄想に一瞬かられる(相談に乗ってもらっているのに、失礼なヤツです)。
後悔しているのかと問われれば、それはありません、と答えますが。
がんサバイバーの宿命
ピア氏にはいろんな情報が入ってくるのだろう。担当医についてちょっと意外な話も聞けた。
やはり同じ病を患ったがんサバイバーに話を聞くと、有益な情報が多くて参考にできることが多い。暗闇の中を迷いながら手探りしていると、進行方向に明かりを照らしてくれたり、背中を押してくれたりする。
しかし単に経験豊富な先達というわけではなく、ピア氏は今は何も症状がないが、再発の可能性については常に不安があるという。死ぬまで再発の可能性に怯え続けなければならない宿命を背負った、同じがんサバイバーなのだ。
私の終末時計
この日、名古屋市には大雨と洪水警報、それに土砂災害警戒情報が出ており、夜になって大雨になった。翌朝、晴れ上がった空を見てふと思った。
終末時計というものがある。地球や人類が滅亡するまでの時間を表示した時計。この終末時計は人にもあるんじゃないだろうか。自分が死ぬまでの残り時間を示した時計。
前日、PET/CTの検査結果で右肺が光っているのを見たとき、私の終末時計は一気に2時間ぐらい進んだような気がした。
頭の中に流れていたBGMは、「サン・トワ・マミー」(越路吹雪じゃなくてヴァージンVS版で)。
♪悲しくて、目の前が暗くなる、サン・トワ・マミー。
→続きです。
コメント
こんにちは。
19日の記事と合わせて、私ならどうするだろうと考えましたが、やはり迷いに迷うと思います。
ただ私も含めてほとんどの人は目の前の医師の言うように治療を受けると思いますが、その人に外せない必須事項は人それぞれで、クロエさんの場合は人よりも”自分が納得する”ことが大切なように思えます。(会ったこともないのに勝手なことを申し上げてすみません)
ですから私もピア氏の、自分が納得して治療を受けるためには、主治医にとことん説明をしてもらうという意見に賛成です。
>肺転移には一般的に抗がん剤を勧められるが、毒性で命を縮めることが確実なので断るべき
私は近藤氏をいいも悪いも思っていませんが、上のような断定式の言い方は引っかかります。
確かに乳がんの温存に関しては時代を先取りしていたと思いますし、近藤氏の言う通りに進んだ面もあると思いますが、人それぞれ何が効くのかオーダーメイドで治療を選ぶ時代になりつつある現在、近藤氏のいうことは断定的かつ大雑把すぎて無責任に思えます。
たまに読む肺がんブログの方はステージ4で、オブシーボでは副作用だけでしたが、他の抗がん剤が効き、仕事にも復帰、元気でお過ごしの様子が伺えます。
(コメント一つしたことないのに勝手に紹介していいのか分かりませんが「或る女の肺がん記」)
NHKの番組「ドクターG」に出演していた勝又先生はブログhttp://nkatsuma.blog.fc2.comで質問を受け付けていますし、自分の主治医だけでなく、内科医や違う科の意見も可能なら聞いて、その上で納得できる選択ができることを祈っています。
tontonさん、コメントをありがとうございました。
今日(1月21日)のブログに書いたように、結局、担当医の提案通りの治療を受けることに決めました。
>クロエさんの場合は人よりも”自分が納得する”ことが大切
お会いしたこともないのに見透かされております(笑)。この頑固さでいつか自分は身を滅ぼすのではないかと危ぶんでいます。
>人それぞれ何が効くのかオーダーメイドで治療を選ぶ時代になりつつある現在、
ゲノム医療やがん光免疫療法などが保険適用になるくらい一般的になって、がん治療の選択肢が広くなっていれば、放射線治療を選ばなかったかも。ただ、今のところはこれが最良だと思っています。
ゲノム医療に関して近藤医師がどんな見解を示すかは、以前から注目しています。
>たまに読む肺がんブログの方は
ステージ4でもずっとお元気な方、結構いらっしゃいますよね。
肺がんステージ4の5年10年生存率は5%程度(年齢や性差でかなり違いがあります)で、ゼロではありません。肺がんの患者会でも、元気にお勤めで山にも登っているというステージ4の女性がいます。
私も、末期がんと診断されても長期生存を果たしている何人かの方のブログを読んでいますが(私も単なる読者で一度もコメントをしたことはないのですが)、その一方、(主に抗がん剤による副作用で)身体の不調を訴え続けた末、ブログの更新が途絶えてしまう方もいます。
新しいがん治療の効果が確認されて、こういう患者さんが減っていけばと願っています。
ほかの医師にネットで相談!
なるほど。考えてもみませんでした。ああ、去年治療法に迷っていたときに相談すれば良かった!
ただ、勝俣医師は近藤医師の天敵(?)なので、近藤誠の名前を出しただけで怒られそうですが(笑)。
すみません、タイトルに大きく「2017年7月」とあるのに、しっかり見落とし、今現在の話かと…
私の場合、このそそっかしさで身を滅ぼしそうで心配です。
時々、疲れやすいとの記述がありましたが、治療の影響もあったのですね。
>勝俣医師は近藤医師の天敵(?)
近藤氏がマスコミに登場した時期と違い、いきなり怒り出す医師はさすがにいないと思いますよ。個人的に恨みでもあれば別ですが(笑)
(怒り出したらマジ怖そうな)前主治医と近藤説の話になったことがありますが、いたって冷静で、エビデンスの取れてないことを何であんなに言い切ってしまうのか?不思議がってましたが。
逆にピア氏は何を根拠に怒ってらっしゃるんでしょう?
何にせよ、納得して治療を進められたのは何よりです。今の先生とは相性も良さそうですし、私の倍は食欲ありそうなのも心強いです。(あ、これ決して皮肉じゃありませんよ〜。私が朝昼いいかげんなので、昼からガッツリ食べてるな〜といつも感心してたんですよ。)
>タイトルに大きく「2017年7月」とあるのに、しっかり見落とし、今現在の話かと…
一段落付いたら書こうと思っていたのですが、なかなかまとまらなくて半年も経ってしまいました。もしかしたらほかにも勘違いされている方がいるかもしれませんね。すみません。
>逆にピア氏は何を根拠に怒ってらっしゃるんでしょう?
知り合いの乳がん患者が、近藤説を信じて治療を受けなかったために亡くなった、と聞きました。
でも近藤医師は病状によっては手術や抗がん剤を受けたほうがいいとも書いていて、全く否定しているわけではないんです。患者ごとに治療方法は違うはずで、それを本だけ読んで盲信するのもどうかと思いますが、細かいことが分からないし、もめるのが嫌でピア氏には言っていません。
でも、近藤説のおかげで、もともと切る必要がなかったのに手術を勧められていた患者が切らずにすんだというケースもたくさんあるはずですが、そういう話はあんまり外に出てこないんですよね(地味だからかしら)。
>昼からガッツリ食べてるな〜と
前の晩の夕食が7時頃なので、次のお昼に食べるまで17時間、固形物を口にしていません。そのためお腹ぺこぺこで、ガッツリ食べています(笑)。