8月26日、名古屋市とNPOが運営しているがん患者のためのサポート組織「名古屋市がん相談情報サロン『ピアネット』」へ。
地下鉄丸の内駅からすぐ(ただし地上までの階段が長い)、伏見通りに面した新しいオフィスビルの1階にある。それほど広くはないが、清潔で明るい雰囲気で、がん関連の本が壁の本棚を埋め尽くしている。
※ピアネットは2017年6月、上前津(名古屋市中区)へ移転しました。→「2017年6月-1 肺がんの患者会-5」
相談に乗ってもらったピアサポーターは、私より一回り年上の男性。
ピアサポートは、同じような立場の人によるサポートという意味。ここでは、がん患者に適切な助言ができるように、養成講座を受けた人がピアサポーターになる。講座は自費で受けるそうで、使命感がなければ務まらないだろうと思う。ここではピア氏と呼ばせていただく。
ピア氏は別のがんの治療後、数年して肺に転移し、定位放射線治療を受けたという。だから肺がんが原発巣ではないが、がんサバイバーとして今も元気に活動しているのを見ると、励みになる。多くのがん患者の相談を受け慣れているのだろう、応対がソフトで話しやすい。
「私も定位放射線治療を受けるつもりです。でもC病院の放射線科の医師たちの治療に向けた思いが一枚岩じゃなくて不安で。それも含めて、先週末、近藤誠セカンドオピニオン外来へ話を聞きに行ってきたんですが」
すると、それまで穏和だったピア氏の片方の眉がぴくりと上がった。
「近藤誠の言ってることは信用できない!」
地雷を踏んでしまった。
病院の治療成績を知りたい
ピア氏に相談したいことは二つあった。
①「C病院の放射線科で治療を受けることに決めたが、どう思うか」
C病院放射線科の定位放射線の治療成績のデータを知りたかったが、検索の仕方が悪いのかネットでは探せなかった。ほかの病院の成績も分かれば比較できるのにと、歯がゆい思いをしていることを話すと、ピア氏は、棚からファイルをさっと抜き出してきて、
「こういうのが出てますよ」
おお! まさにこれこそ私の知りたかったデータじゃないですか。まるで魔法のよう。
あとで気付いたが、ネットでお金を払って会員になると見られるデータサービスの情報でした。有料ということでケチって飛ばしていた。たかが数百円を惜しんだばかりに有益な情報を取りこぼしていたとは・・・。だけど有料サービスってほかにもいろいろあって、どれがいいのか、全部入ったほうがいいのか、まーいいか、次の情報を当たろう、となってしまっていたわけです。
ピア氏が出してくれたデータの中にC病院の名前はなかった。1位のE病院(大学病院)の治療数が突出している。ピア氏は、
「私も定位放射線治療はE病院の先生に受けた。その先生は名古屋市内のF病院でも診療しているので、そっちのF病院でだけど」
とのこと。自分もその先生に治療を受けたい!
二つ目に聞きたかったこと。
②「がんになったことを周囲の人に話したか」
ピア氏は家族はもちろん、会社、近所の人にも言いまくったそうだ。
「私、仕事がフリーランスなので、全然話してないんです。クライアントはがん患者に仕事を頼もうという気にならないんじゃないかと思って」
「それは正解。言わないほうがいい」
仕事を依頼したせいで患者の具合が悪くなったりしたら、クライアントは夢見が悪いではないか。これまでごく少数の人にしか口外しなくて正解だったと思った。
(その後、うっかり知人のP子に話して失敗したことは「2015年8月-16 友人にカミングアウト」に書きました)
きっと、ピア氏のように患者のさまざまな言動を想定して対応を学ぶのではなくては、相手の満足する対応などできないのではないか。
ピアサポーター養成講座のHPを見ると、ピアサポーターになるには3万円の受講料を払って講座に9回通わなければならない。それだけがん患者へ対応するために求められるスキルは高いということになる。とても素人じゃ無理です。
これまで肺がんについて同じ立場の人と掘り下げた話をしたことがなかったので、心ゆくまで話せて本当によかった。
ピアさん、有益な情報をありがとうございました。