2016年10月 経過観察-5 &骨転移していたら

尾てい骨の痛み

4回目の経過観察(7月)で担当医に尾てい骨の痛みを訴えたが、その後も痛みは続いた。椅子に座ったり、ベッドやソファで横になっていると、仙骨というのか、尻尾の名残の部分が痛い。骨そのものなのか、周囲の筋肉なのかは分からないが。

これが肺がんの骨転移だったら・・・。また同じことを考える。自分の尻尾にじゃれてグルグルグルグル回っている犬の気分。

よし、転移があった場合の今後を考えておこう。考えて方向性を決めておけば、「あれについては、ちゃんと考えたから、もう考えなくていい」と、回り続けるのを止められる。

久々に小野寺時夫著「人は死ぬとき何を後悔するのか」(宝島新書)を再読し、やりたかったことをしないまま後悔して死にたくない、と思ったこともある。

・手術、抗がん剤治療は受けない。効果が見込める場合のみ放射線治療は受ける。

・旅行をする(アメリカ、ベルギー、それにイタリア)。

・遠方に住んでいる友人に会いに行く。

・痛みが出たらホスピスへ(見学できるホスピスのリスト化)。

・生活費はどうするか。生保を解約するといくらかの返戻金があるので、それを充てる?

少し先を見通せるようになると安心する。それが死へと続く道でも。どうなるか分からないことが不安と恐怖を呼ぶのだ。

7月中旬には、椅子の座面に畳んだバスタオルを敷いたり、椅子の座り方が悪いのかもと浅く腰かけたりと、座り方に工夫する。ただ、指で触れるだけで痛みが走るので、どこかに打ったり転んだりして、尾てい骨にひびが入っているのかもしれないと考える。

7月31日に九重親方(元千代の富士)が膵臓がんで死去したとのニュース。昨年5月に腫瘍が見つかって、7月に手術。今年に入って再発、抗がん剤治療を受けたが力尽きたという。こういう話を聞くと、口の中に金属のような味が広がっていく感じがする。

8月に入って、こんな情報を見つけた。骨がんになると、血液検査のカルシウム値が上昇する「高カルシウム血症」になるそうだ。しかし7月の血液検査のカルシウムの数値は基準値内に収まっている。それ以前の数値もずっと基準値内。心配するだけ無駄だったってことか。でも、この数値だけで判断できるものじゃないのかもしれない。うーん。また目の前の自分の尻尾にじゃれたくなってくる。

2016年10月 経過観察-5

昨年、定位放射線治療が終わったのは10月9日。それから1年が過ぎ、2年目に入った。

名古屋市立大学病院放射線科へ5回目の定期検診へ。結果を聞く前はいつも緊張するので、

「腫瘍マーカーもCTも異常なし」

の言葉を聞くと、一気に緊張感がゆるむ。

担当医によると、CTはスキャンで映る範囲内の臓器に異常があれば分かるそうだ。胸部CTの場合は、肺以外に、肺の周りのリンパ節、肝臓、副腎、骨が分かるということで、見てもらう。

ただ以前にも言われたように、骨は確実ではなく、正確に知るには骨シンチグラフィー検査を受ける必要があるとのこと。

サイズは「もう本当に小さくなっているので測れないくらい」と言われたが、あえて測ってもらうと、

「長径9ミリ、短径4.5ミリ、厚さ5ミリ」。

前回よりまた小さくなっている。小指の爪くらい? 瘢痕様(はんこん・よう)という焼け跡の状態だそうだ。直径31ミリの腫瘍が、焼けて、燃えかすとなって、風化(?)しつつある。

季節が夏から秋へと移ろうとする時期のせいか、たまに咳をするとゼーゼーする。

「放射線肺炎ですね。普通は半年ぐらいで徐々に治まりますが、長く尾を引く人もいます」とのこと。

この日は夏の終わりのような気候で暑いくらいだった。夜、湯船にお湯を張らずに、シャワーを浴びる。多分この年、最後のシャワーになるだろう。バスルームを出て久々に缶ビールを開け、この1年間無事で過ごせたことを祝った。

とりあえず生き延びた。でもまた3か月後に同じように悶々とするのだろうな、小心者め。

→続きです。

2016年12月 3冊の「がん患者」本
・「がん患者力」NHK「がんプロジェクト」取材班著(主婦と生活社) ・「がん患者」鳥越俊太郎著(講談社) ・
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