2017年3月-2 肺がんの患者会-4

3度目の患者会

3月中旬、半年に1度開かれている肺がんの患者会に参加した(名古屋市がん相談情報サロン「ピアネット」の患者会)。

これまで出た3回のうちで一番人数が多い。スタッフの方に聞くと、2月に開催された市民公開講座「進化する肺がん治療」というイベントに参加した人の何人かが、こちらの患者会のことを知って参加予約をしたそうだ。

男女比でいうと男性より女性のほうが2倍以上。ただ、患者本人ではなく患者の家族という女性が5人いた。夫婦、親子でそれぞれ付き添いで来ている2人、そして患者本人は来られず家族だけの人が3人。病気の肉親のために少しでも役に立つ情報を得たいという家族がいるのは、患者にとって心強いことでしょう。

前回(「2016年9月 肺がんの患者会-3」)のとき、連絡先を交換した2人も来ていた。Rさんと私と同年代の女性だ。ほかにも数人、見慣れた顔があってほっとする。

ただ、前回、手術後の痛みが取れないと言っていた年配の男性の姿はなかった。都合が付かなかったのか、それとも・・・。患者会には一度きりしか参加しない人も多いと聞くので、きっとそれだと思うことにする。

最初に司会のピア氏から、今回は出席者が多いので自己紹介は短めにしてくださいとの要請。それもあって、私は放射線治療を受けたことだけ話した。手術が嫌で近藤誠セカンドオピニオンで相談したと言ったら、近藤誠にアレルギーのある人や手術を受けた人を刺激するかもしれない。それが面倒だったこともある。

出席者のステージは1から4までさまざま。

患者会に来られるくらいだから皆さん、パッと見は元気そうで普通に見えるが、服用している抗がん剤の副作用がひどく別の治療法を模索している人、術後に転移が見つかり化学療法に入ったが、抗がん剤に次々と耐性ができて不安を抱えている人。その一方、ステージ4でも仕事や趣味の登山を続けている人、手術で片方の肺を全摘して肺活量が半分になったがスポーツクラブで定期的に汗を流している人など、症状も抱えている問題もいろいろだった。

私と同じ肺腺がん1Bの人が3人いたが、全て手術を受けていた。うち2人は抗がん剤のUFTを服用中。もう1人は脳に転移してガンマナイフで治療したとのこと。最初から放射線治療を受けたという人は、高齢のため手術ができなかったというステージ3の人だけだった。

放射線被ばくを心配しています

この日は、術後CTについてほかの患者さんの体験を聞きたいと思っていた。

「放射線治療後、2〜3か月の間隔でCT検査を受けている。放射線被ばくが心配だけど、どう思いますか」

ピア氏やほかの患者さんからは、

「転移や再発の早期発見のためにはCTが確実」

「放射線科の医師が、普通にがんになる確率と、CTでがんになる確率は同じくらいだと言っていた」

などという話を聞けた。

私と同じように放射線被ばくが心配という男性もいた。彼は、

「主治医に頼んでCT検査の間隔をあけてもらっている(2か月間隔を4か月間隔とかに)。それと、CTのスライスする間隔を倍にしてもらうように頼んだ」とのこと。

たとえば胸部を1ミリ間隔で輪切りで撮影しているのを、2ミリ間隔にしてもらうというもの。そんなこと可能なの? 初めて聞く話でびっくり。

「でも機械の設定が病院で決まっていて変えられないということで、断られた」そうだが。しかし、こんな手があるとは。自分で本やネットで調べるだけでは限界があるため、同じ患者さんの話からは、思いもよらないヒントをもらうことがあります。

Sさんは手術を受けていた

Sさんも来ていた。前回の患者会で、「これからステージが確定する、放射線治療について知りたい」と話していた、私がこのブログを始めるきっかけとなった女性だ。彼女がどうしているか、この半年間ずっと気になっていた。

彼女の自己紹介によると、昨年9月の患者会のあと病期が確定した。私と同じ腺がんのステージ1B。放射線治療を視野にセカンドオピニオンを受けることも考えたが、担当医の強い勧めで胸腔鏡下手術を選んだ。現在、抗がん剤を服用中だが、痛みも副作用もない。

それはよかった。とか言いようがない。正直ちょっと複雑な気分だけど。

「セカンドオピニオンも考えたけど、主治医がすごくいい先生で、こういう治療(手術、抗がん剤)を勧めてくれたので、それを受けることにした。結局セカンドオピニオンには行かなかった」

こういう人は多い。特に「主治医がいい先生で」という女性患者の声をよく聞く(友人にもいます。別のがんだけど)。で、その先生というのは大抵、男性医師だ。

近藤誠著「近藤誠の『女性の医学』」(集英社)にこんな話が載っている。

「これは僕の主観ですが、女性のほうが医者を従順に信じやすい傾向がある気がします。(略)男の医者をあこがれの対象として見る女性患者も多いようなのです。こんな話があります。/売れっ子の開業医がいて、毎日100人くらい女性患者が押し寄せる。うらやましく思った仲間の開業医がその秘訣を聞くと、『診察が終わったら、目を見つめて握手をして〝またいらっしゃい〟と耳もとでひと言。これで確実にリピーターになるんだよ』。笑い話のような本当の話です。」

何、このホストみたいな医者。この医者にとって患者は客なのね(だからこんな鉄面皮なまねもできちゃうわけか)。

女性も、バッグや時計など高価なものを買うときは、いろいろと情報を集めて比較検討するはず。それなのに自分の命を預けることになる医師は、ほかの医師や医療機関と比べることもなく、言いなりになってしまう。一体なぜなんだろう。解せません。

いや、こんなこと、医師を信じて手術を受けてしまった友人に面と向かって言えることではありませんが。

患者会で、Sさんも私のことを覚えていてくれて、連絡先を交換した。じっくり話せる機会が訪れることを願っているが、自分が下手なことを口にしてしまわないか、ちょっと怖くもある。

→続きです。

2017年4月-1 反面教師としての「身体のいいなり」
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2017年4月-2 経過観察-7 胸部CTに新たな影
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コメント

  1. tonton より:

    そんなホストみたいな医師がいるんですね〜(笑)
    でもそのSさんの気持ちは分からなくはありません。
    素人にはどれを選んだら自分にとってのベストか?決定するだけの知識がないので、最後はこの人の言うことならいいか、となってしまうのでしょうね。
    私も、21年前は初めての病気で、最初の医師とは大喧嘩、近藤氏に紹介してもらったA先生がいい人で、もうこの先生にお任せ!という気分でした。
    でもその時、治療の選択に迷ったら、医師が同性なら「先生ならどうする?」、異性なら「私があなたの家族ならどうする?」と聞け、と教わりました。まあ、医師は自分の勧めたいことを言うでしょうけれど。
    今はネットがあって情報は増えましたが、どれを信じていいのか?玉石混淆すぎて結局よく分からないことが多いです。

    ところで、クロエさんの病院には低線量CTはありませんか?
    通常CTの10分の1の線量との話です。
    また私の病院は半年毎の検診で血液検査とレントゲンのみ。
    CTは症状がない限り、今後もずっとありません。
    理由は「早く見つけても意味ないから」というシビアな理由で、複雑な気持ちになります。

  2. クロエサト より:

    ttontonさん、こんにちは。
    Sさんはまだ患者会に出てきて、自分からいい治療法を選び取ろうという積極性があって素晴らしいと思うんですけどね。他人の私があれこれ言えることでもないので、悩ましいところです。
    情報は玉石混交、ホントにそうですね。
    私のこのブログも「石」ですが、情報を求めている人の一つの選択肢になればと願い、細々と続けております。
    低線量CTって初めて聞きました。こういうのがあるんですね。
    でも残念ながら通院中の病院にはないようです。
    「早く見つけても意味ないから」というのは、まさしく近藤医師の言ってることで、私はそのほう(CT検査がない)が望ましいんですが・・・。