梅澤充「抗がん剤治療の正体」

最大耐用量を投与するのが抗がん剤の標準治療

梅澤充著「抗がん剤治療の正体」(ベスト新書。2016年初版)を読みました。

梅澤医師は長年、大学病院などでがん治療を行ってきたが、末期がんの患者に抗がん剤の標準治療をしても、副作用の苦しみの代償に得られるのは、わずかな延命のみ。そんな現状に疑問を持ち、「抗がん剤を可能な限り減量して、副作用を容認できる範囲内での治療」を提唱、実践しています。

驚いたのが(無知ですみません)、「標準治療とは抗がん剤を最大耐用量で投与する方法です。『標準』という言葉に『平均的な量なんだな』と騙されてはいけません。」の言葉。標準というくらいだから、多くも少なくもない中間の量だと思っていたが、実は「最大投与量が標準」とのこと。

腫瘍内科医への批判

この抗がん剤の標準治療は、最近日本でも増えてきた腫瘍内科医が強く推進しているとして、梅澤医師は腫瘍内科医を断罪する。以前、腫瘍内科医が主人公の医療ドラマ「アライブ がん専門医のカルテ」をブログで紹介したことがあるので、ちょっと複雑な気分。

本にはドラマの監修をしていた勝俣範之医師への痛烈な批判もあるが、同時に近藤誠医師への反発も強烈(梅澤医師は近藤医師の著書で名指しで批判されたそうだ)。

医療の世界にはいろんな派閥(主張?)があるけど、それぞれの医師が自らの長年の経験をもとに導き出した最良策だと思うと、患者としては迷いそう(私自身は近藤医師を信頼して良かったと思っていますが)。

抗がん剤の量をコントロール

梅澤医師は腫瘍内科医から批判されているらしく、こう書く。

「私はすべての患者さんに対して、抗がん剤は腫瘍内科医が効かないと批判する『そんな量』しか使っていません。」

じゃあ、それで効くのかというと、効果はあるとして、自身が治療した26の症例を挙げている。

患者は別の病院で余命半年などと言われ、焦って治療に入るが、最大量の抗がん剤でも効果がなく、ぼろぼろになって梅澤医師のもとに駆け込んでくる。梅澤医師は患者と話し合い、様子を見ながら、患者が副作用に苦しむことのないように抗がん剤の量をコントロールしていく。

多くの患者が最初から末期のため、劇的に改善することはない。最終的には亡くなる(症状は緩和し、告知された余命より長く生きた末)ことが多いが、10年以上抗がん剤を処方されて蓄積毒性があるはずが、普通に日常生活を送っている人もいる。がんとがん治療ってほんとに個人差が大きいと思わされます。

本には全がん協と梅澤医師が勤める病院それぞれの、肺がんと乳がんの生存率の比較が載っているが、

「当診療所(注:大塚北口診療所)のエビデンスのない『非標準治療』は、ガイドラインどおりの標準治療よりはるかに勝っていると思います。」と頼もしい。

「脱毛はほとんどありません」

「抗がん剤で髪の毛が抜けるのは嫌」と希望する患者は多いと思うが、そもそも「私が使っている抗がん剤の量では、脱毛はほとんどありません」とのこと。梅澤医師の指示のもとで抗がん剤の量を減らしたら、髪が戻ってかつらが不要になった女性の話も出てくる。

脱毛を気にするのは女性ばかりではない。年配の男性社長が、脱毛してがんだと分かったら銀行がお金を貸してくれなくなるため、髪が抜けるのは困ると訴えてきたそうだ。

髪の毛問題は老若男女、誰にとっても大きな問題だと再認識したことでした。

非小細胞肺がんステージ1Bの女性

26症例のうち肺がん患者は6例。

そのうち、31歳で非小細胞肺がん1Bと診断された女性の話が気になった。私自身が非小細胞肺がんの腺がん1Bだったため。

彼女の腫瘍は4センチ。手術を受けるが4カ月後に再発。抗がん剤(シスプラチンとアリムタ)治療を6クール受けるが変化がなく、休薬へ。すぐに腫瘍が増加、増大したためタルセバを服用するが、腫瘍マーカーが上昇、がんも増えてきた。このままタルセバを続けていいものか悩み、梅澤医師のもとへ。

腫瘍が大きくならないように何回も抗がん剤を変えていく治療を受けながら、彼女は結婚、何度も海外旅行を楽しんだそうだ。

結局3年後に亡くなるが、標準治療を受け続けていたら、人生の最後にこんな充実した時間を送れなかったのではないか。

彼女がもし放射線治療を受けていたら

ただ、こうも考えずにはいられない。もし彼女が肺がん1Bの診断後、手術ではなく放射線治療を受けていたら、予後はどうだったのか。最初に受けた手術でがん細胞が体内に散らばってしまったため(がんが暴れる)、4カ月後に再発として見つかったのではないか。これは今さらいっても詮ないことだけれども、考えずにはいられない。

私自身は今のところ異常は見つかっていないが、もし再び再発転移して抗がん剤しか治療法がないと言われたら、梅澤医師にセカンドオピニオンを聞いてみたいと思います。

※梅澤充医師はブログを運営しています。→「現在のがん治療の功罪~抗がん剤治療と免疫治療

2020年12月10日(木曜)

〇体重 50.4 〇BMI 19.1 〇体脂肪率 28.1

■朝

豆乳、野菜ジュース

■お昼

オープンサンド(10枚切り食パン1枚。フリルレタス、トマト)、シチュー(タマネギ、ニンジン、キャベツ、エリンギ、ホタテ)、サラダ(ブロッコリー、赤カブ、金時豆、クルミ。岩塩、黒胡椒、オリーブオイル)

一晩寝かせたキャベツのシチュー、おいしくなりました

■お八つ

コーヒー、飴。クラッカー

■夕飯

雑穀入りご飯、ニラと卵の吸い物、焼き野菜(カボチャ、ニンジン、ピーマン、厚揚げ。甘味噌)、里芋とイカの煮物、コールスロー(キャベツ、ニンジン、コーン。マヨネーズ、酢)、ミカン

甘味噌には、ごまをすって、一味唐辛子を振っています

2020年12月11日(金曜)

〇体重 50.9 〇BMI 19.3 〇体脂肪率 27.8

■朝

豆乳、野菜ジュース

■お昼

ラーメン(ネギ、かまぼこ、メンマ)、里芋とイカの煮物、コールスロー

メンマはタケノコの水煮で作りました

■お八つ

コーヒー、飴。抹茶、一口チョコ

■夕飯

お好み焼き(小麦粉50グラム、長芋、卵、かつお節、ニラ、シメジ、ホタテ、天かす)、味噌汁(ワカメ、ニンジン、カボチャ、油揚げ、ネギ)、コールスロー(クルミ)、ミカン

コールスローにクルミをトッピング。食感が変わって面白い

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コメント

  1. tonton より:

    こんばんは。
    ブログの記事内でこちらのリンクを貼らせていただきました。(事後承諾ですみません)

    この記事を読んで驚きました。抗がん剤はNHKプロフェッショナルで見て、勝俣医師が最高峰と信じていたので…
    標準治療といっても、結局、個人個人の体質や薬との相性で、思っている以上にガンは個人差の大きい病気のようですね。

    • クロエサト より:

      tontonさん、こんばんは。

      >ブログの記事内でこちらのリンクを貼らせていただきました。(事後承諾ですみません)

      いえいえ、取り上げてくださってありがとうございます。

      >思っている以上にガンは個人差の大きい病気

      ほんとにそうですね。そして治療法も一つではないことを知ってもらえたらなと思って、この本を取り上げました。