「黄金のアデーレ」と「クリムト」

名画の帰還か略奪か

GWに入り、レンタルしていたDVDやHDに録画しておいた映画、ドラマを見ています。

まずは「黄金のアデーレ 名画の帰還」(2015年。イギリス、アメリカ)。

クリムトの代表作「黄金のアデーレ」はオーストリアの美術館に展示してあったが、82歳のアメリカ人女性が、絵の所有権は自分にあると主張し、本当に取り返してしまう物語。

史実に基づいた映画で、第2次大戦下、絵画に描かれた美女アデーレの姪マリアは、ユダヤ人迫害の手を逃れてアメリカへ亡命。ウィーンの屋敷にあった芸術作品、調度品一切合切はナチスに没収され、家族もバラバラになってしまう。50年後、マリアはオーストリア政府を相手に訴訟を起こし、懐かしい叔母の絵を取り戻す。ラストには胸が熱くなります。

でも、作品を持って行かれたオーストリア人はどう思ったか。映画の中で、「アデーレ」は「オーストリアのモナリザ」と称され、国民から愛されていたとある。邦題のサブタイトルに「名画の帰還」とあるが、その絵をアメリカに持って行かれたオーストリアにとっては「名画の略奪」なのかも。

日本にとってのモナリザ

アデーレがオーストリアのモナリザなら、「日本のモナリザ」はどの絵画か。考えたが、これがなかなか思い浮かばない。

美人画というと伊東深水や松村松園か。確かにきれいだけど、具体的にモデルの名前が出てこない。

名前が分かっている肖像画といえば、岸田劉生の「麗子像」。うーん、なんか違う気がする(麗子の作品は複数あるし)。

それなら黒田清輝の「湖畔」はどうか。モデルは画家の妻になる前の種子(後日、照子と改名)で、とっても美人。でも浴衣姿でくつろぎすぎ? そういえばこの絵、白洲正子が自伝で、子どもの頃に自宅の壁に掛かっていたが好きじゃなかったと書いていた(何てぜいたくな話!)。

浮世絵までさかのぼれば、菱川師宣の「見返り美人」はどうか。

いやいや、もっとさかのぼって、国宝の「源氏物語絵巻」は? 美女の誉れの高かった浮舟や六君、宇治の大君と中の君は、顔までばっちり描かれている。とはいえ、この絵巻では貴族クラスはみんな引目鉤鼻で同じ顔をしていますが。それに源氏はフィクションだから駄目か。

とまれ、どの作品も日本国内からなくなったらさみしい限り。オーストリア人の喪失感が理解できます。

映画「クリムト」

「黄金のアデーレ 名画の帰還」と一緒に借りたのが「クリムト」(2006年。オーストリア、フランス、ドイツ、イギリス)。もしかしたらアデーレやマリアが出てくるかと思ったけど、重なるエピソードはありませんでした。

クリムトが著名画家としてもてはやされる1900年代初めのパリやウィーンを舞台に、梅毒に冒されたクリムトの妄想と現実が入り乱れて描かれる。自宅に何人もの女性を住まわせモデルにしていたそうで、裸の若い女性が次々に出てきて、めんくらった。退廃的というか前衛的というか耽美的というか実験的というか、いわゆる大衆受けを狙ったアメリカっぽさは全然ありません。

「黄金のアデーレ 名画の帰還」が、ウィーンの同じ街角を1941年と1998年で描き分け、時代の相違をきちんと見せていたのに対し、「クリムト」ではいかにも装置がお粗末。資本力の違いかもしれないので、安易に比べちゃいけないかもしれないけど。まあ主演が私の好きなジョン・マルコビッチなので、それだけで十分ですが。

82歳でセクシー

「黄金のアデーレ 名画の帰還」で、82歳のマリアがイギリスのメイ首相のような上品なスーツとハイヒールで、ロサンゼルスやウィーンの街をさっそうと歩くのは格好良かった。友人の息子の若手弁護士から「セクシー」と言われるシーンがあるけど、全く無理がない(マリアを演じたヘレン・ミレンは実際には映画公開当時70歳だったが)。

それと、「ダウントン・アビー」で伯爵夫人コーラを演じたエリザベス・マクガヴァンが裁判官役で出ていて、懐かしかった。「黄金のアデーレ」のサイモン・カーティス監督の妻なんだそうです。

2019年4月27日(土曜)

〇体重 51.3 〇BMI 19.4 〇体脂肪率 27.1

■朝

豆乳、野菜ジュース

■お昼

フジッリ・アラビアータ(乾麺70グラム。ニンニクオイル)、サラダ(サニーレタス、タマネギ、人参、セロリ、紅絞り豆、ちりめん、大根、トマト、ゆで卵。岩塩、黒胡椒、オリーブオイル、バルサミコ酢)

■お八つ

コーヒー、飴

■夕飯

雑穀入りご飯100グラム、茶碗蒸し(エノキ、スナップエンドウ、エビ)、サーモンのソテー(シメジ、オクラ)、ホウレンソウのおひたし(削り節)、ブドウ、梅干し、海苔

2019年4月28日(日曜)

〇体重 51.4 〇BMI 19.5 〇体脂肪率 28.2

■朝

豆乳、野菜ジュース

■お昼

うどん(乾麺80グラム。干しシイタケ、ワカメ、ネギ、かまぼこ)、アヒージョ(エリンギ、ちりめん、エビ。マジックソルト、ニンニクオイル)、厚揚げとピーマン(甘味噌)

■お八つ

コーヒー、飴。おかき

■夕飯

雑煮(切り餅2個、小松菜、エノキ、かまぼこ)、サラダ(サニーレタス、セロリ、タマネギ、ツナマヨ)、根菜の煮物(ゴボウ、人参、タケノコ、コンニャク、丸天、昆布)、目玉焼き、ブドウ

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コメント

  1. tonton より:

    「黄金のアデーレ 名画の帰還」私も以前DVDで見ました。
    ヘレン・ミレンはエリザベス女王役からアル中気味のボロボロの刑事まで、芸の幅が広くて感心します。若手弁護士とのコンビも面白かったですね。

    >「日本のモナリザ」は?

    確かにオーストリアから見たら、「名画の略奪」ですね!
    日本から無くなったら、ショックなのは何だろう?
    名画じゃないけど、”弥勒菩薩”とか”阿修羅像”取られたら、ショックでしょうね〜。

    • クロエサト より:

      >”弥勒菩薩”とか”阿修羅像”取られたら、ショックでしょうね〜。

      確かに。その2つがなかったら、京都や奈良の魅力が目減りしますね。

      「取られた」わけじゃないけど、伊藤若冲の絵なんか、アメリカから返してほしいと思いますね。
      芸術作品に対する価値観は時代によって変わるとは思いますが、あんなに美しく緻密な絵がバンバン売り払われていたって、ひどい(悲しい)話だなーと思います。