2023年9月-1 乳腺クリニックへ行く

検査の予約

9月2日の体重は46.9キロ。この年の最低値だった。どのがんも心配だったが、不安なら検診へ行くべきと思い、まずは一番心配な乳がんだけでも検査を受けてみようと、近所の乳腺クリニックを調べた。10年前に行った所の男性医師は終始、事務的な対応でいい印象が残っていなかった。他にないかと当たったら、駅近くに女性医師がやっている乳腺クリニックがあった。

男性医師に比べて女性医師のほうがきつい(女同士だから分かってくれるだろうと期待したが、逆に同性ゆえに厳しく遠慮のない対応をされたなど)という話を聞くことがあるが、今からそんな心配をしていたら先へ進めない。取りあえずここに決めた。

この頃、バイトは2カ月目に入っていたが、慣れない仕事でなかなか疲れが抜けなかったし、手は痛むし(後に母指CM関節症と診断)で、結局、予約を入れたのは9月21日だった。予約はネットから行い、どんな検査を受けたいか選択する他、現在の状態やこれまでの病歴などの質問もあった。

名古屋市は市民対象の健診・検診があり、乳がんのマンモグラフィー検査は60歳までなら5歳刻みで無料。それ以外でも500円で受けられる。

しこりの自覚症状があったので、マンモだけでいいのか、その場合いくらくらいかかるのか不安だったため、念のためクリニックに電話で聞いてみた。

マンモだけなら名古屋市の検診で500円だが、自覚症状がある場合はマンモ、エコー(超音波検査)、診察がセットになって3600円。さらに生検(細胞診、組織診)をする場合は別途お金がかかるという。

また、このクリニックはクレジットカードが使えないとのことで、現金を用意する必要がある。私はいつも財布に1000円札を3枚程度しか入れていないので、金額が大きくなりそうな場合は事前に聞くことにしている。

しこりの自覚症状があるので、エコーも受けることにした。乳がんかどうかと心配してうじうじしているより、はっきり判断が付いたほうがいい。

マンモグラフィーとエコー検査

9月22日

乳腺クリニックは医師を始めスタッフは全て女性だった。受け付け後、検査着に着替えて、まずはマンモグラフィー。乳房の上下からと斜めから、左右それぞれ4回撮った。それから別室でエコー。検査技師は異常がありそうな部分(ほぼ左胸)を10枚ほど画像に撮っていた。

少しして診察室に呼ばれた。50代くらいの医師で口調はフランクで親しみやすい。

–最近体重が減ってきた。肺がんになった時に体重が減ったので、また肺がんかもしれないと心配になったが、4月の定期検査では何ともなかった。でも最近になって胸のしこりに気付き、以前からあったような気もするが、よく分からないので検査を受けることにした。

そう説明すると、医師はまず、

「乳がんでは、やせません」

え、そうなの? どんながんでも罹患したらやせて体重が減るのかと思い込んでいた。

それから医師は左胸の検査画像を見ながら、

「乳がんでほぼ間違いないと思います」

と言い切った。ああ、やっぱりかと落胆したが、愁嘆場を演じるほどではなかった。医師の深刻そうな気配が全く感じられない話し方に、医師にとってこれは日常、よくあることで、私もその大勢の一人なのだと思うと、どこか他人事のような気がして、それほど深刻なことなんじゃないのではないかと勘違いしそうだった。末期で余命を宣告されたなら違ったかもしれないが。

左胸は乳がんの可能性大〜組織診

–ほぼ間違いじゃないということは、100%確定ではないんですね。

「確定したいなら生検もできますよ」

乳がんの病理検査には2種類ある。「細胞診」と「組織診」で、細胞診は細い注射針で腫瘍の細胞を吸い出す。組織診(針生検)は太い注射針で組織を切り出し、それぞれ検査する。当然、組織診のほうが負担は大きい。

細胞診は疑陽性、偽陰性となる場合があると聞き、再検査するのも面倒だったので組織診を受けることにした。組織診にも種類があって、このクリニックでは「吸引組織生検」が行われていた。

左胸に局所麻酔が打たれ、次にカッターを仕込んだ太い針が腫瘍部分に刺され、ガタガタと音を立てながら病変を吸い取っていく。診察台に横になっている自分からは何も見えないのに、体の上で道路工事が始まったようで怖かった。この時の針の跡は、今(2024年5月現在)でも消えていない。

検査の結果が出るのは2週間後の10月5日。医師からは、もし乳がんと確定したら、どの病院でも紹介状は書くと言われた。

肺がんの担当医に相談したい

そういえば肺がんの次の定期検査は10月17日だ。

「肺がんを経過観察で見てもらっている先生に相談したいがいいか」と聞くと、構わないとのこと。

そして「CTは受けてる? 乳がんのこと言われなかった?」と聞かれた。肺も乳房も同じ胸部CTなので、画像に異変があれば分かるのではないかということか。

私がCTを最後に撮ったのは前年2022年11月で、肺がんが転移しやすいと言われる肺のリンパ節、骨盤、肝臓、副腎、脊髄などは確認してもらったが、残念ながら乳がんについての言及はなかった。私も乳がんの可能性など全く意識しておらず、確認してもらうという発想もなかった。

また、「肺がんは放射線で治療した。乳がんも放射線治療をしたい」と話すと、乳腺クリニックの医師は

「乳がんは手術がメイン。手術の後に放射線治療することはあるが、最初から放射線治療をすることはまずない」と断言した。

予定外の病理検査を行ったため、料金は2万5330円(以降2万円以上の場合だけ記します)。財布には1万円札しか用意していなかったので、受け付けに断って近くの銀行まで下ろしに行った。私のように支払いの段になって現金が足りなくなる患者は結構いるようで、受け付けは慣れた言い方で案内してくれた。

※乳がんの検査〜治療には最終的に約50万円かかりました。しかし最初から治療は高額療養費制度を利用していたため、支払った金額は半分程度ですんでいます。

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