そうそう。
C病院の最初の診察のとき、マスク先生から、
「気管支鏡検査で使う内視鏡の管ですが、これまでは直径4ミリでしたが、新しいもの(3ミリ)が開発されました。今使っているものより細いので、負担は軽いと思います。患者さんの了解を取ってテストしていますが、受けてもらえますか」
と聞かれた。
悩んだ。
断ったら心証を悪くするのではないか。
そんな疑心暗鬼に陥るのは、ごく自然な患者心理ではないかと思うが、どうでしょう。
でも、テスト段階ってやっぱり怖いので、遠慮しておいた。
マスク先生は、病院の方針、意向、医局の思惑、製薬会社や医療機器メーカーの要望、出身医大などとの兼ね合いで、自分の本意ではないけど言わざるを得なかっただけかもしれない。
こんなの断っただけで悪印象を与えるとは思わないけど、患者ってこんなことまで気を回して、卑屈にもなろうもの。
患者ってつくづく弱い立場だなーと思った一件でした。
気管支鏡検査後の2日後、入院中の母の見舞いへ。
母が入院する県内の病院へは、地下鉄と電車を乗り継いで1時間ほど。
お寿司が食べたいというので、母の好きなかに専門店のお寿司をテイクアウトして持っていく。
母はちょっと痩せたかなと思ったが、私のことも顔色が良くないと言う。
さすがに母親。
いくつになっても自分の子どもの異変は敏感に感じるようだ。
ただ、まだ結果が出ていないし、入院中の母に要らぬ心配をかけたくなくて、がんの検査を受けていることは言わなかった。
友だちが娘にマンションを買ってもらったとか、遠い親類が白血病になったとか、肺炎で入院した知人が肺がんだと診断され、そのまま死んだとかいう話を聞かされる。
深い穴に突き落とされるような気分(甲斐性なしの娘でごめん)。
血痰はその後も出続けた。それと咳も出るようになった。検査のせいだろうか?