8月15日、友人2人と夕方から名古屋市の東山動植物園へ。ここは動物園と植物園の二つのエリアからなっていて、子ども向けの遊園地やボート池などもある。
毎年、動物園では動物の夜間の生態が見学できるというナイトズーが夏の2週間だけ開催されている。夜の動物園! 野生を取り戻した動物たちの姿が見られるかも。
「以前から行きたかったが、なかなか機会がなくて」で終わらないよう、「行きたいところには行けるうちに行っておく」のです。ということで、30年ぶりの動物園と相成りました。
この日の名古屋の最高気温は35.3度。日がだいぶ西に傾いたとはいえ、まだまだ暑い。
お盆休みということもあって、園内は子ども連れの家族だらけ。動物たちもびっくりして、普段の生態なんて見られないのではないか。
イケメンゴリラのシャバーニ目当てでゴリラ舎へ向かったが、タッチの差で展示室から裏へ移されたあとだった。残念。
そういえばこの頃、東京五輪のエンブレムの盗用疑惑が連日報道されていた。渦中のデザイナー氏のほかのデザインも次々と盗用の疑いが指摘されていたが、彼がデザインした東山動植物園のシンボルマークも、コスタリカの国立博物館のマークに似ていると話題になっているさなかでした。
この動物園は山を切り開いて作られているので、あちこちに坂や階段がある。
長い階段を下りているとき、一人の友人は「ひざが痛くて」とゆっくりとしか下りられない。がん患者の私のほうがよほど元気で、おかしな気になってくる。ただ、腫れたばち指だけは、なるべく隠すようにしていた(2人には肺がんのことは伝えていない)。
池に面したオープンテラスのカフェでお茶を飲んだ後(動物園、お洒落になっていて驚き)、人混みを避けようと、鉛筆の形をした東山スカイタワーへ。高さ80メートルの丘の上に134メートルのタワーが建っているため、標高が214メートル(展望室は標高180メートル)という展望タワーだ。展望室へ上がるエレベーターに行列ができていたが、もう喧噪の中に戻る気はなかった。
周囲には高い建物がないので、見晴らしがいい。
夜のとばりの中、名古屋市内や近隣の街の夜景、遠くには山の稜線も浮かび上がっている(晴れていれば御嶽山や鈴鹿山脈が見えるそうだ)。
夜の地平線を見晴るかしていると、ぼうっと丸く光るものが。
「花火! 花火が上がってる!」
それも、目を移すたび、隣の窓へと移動するたび、あっちでもこっちでも上がっている。遠くで上がっている花火はちんまりと、比較的近い花火は大きく、青鈍色の空に色鮮やかな花を咲かせたあと、少し遅れて音も聞こえてくる。
たまたま花火大会の多い8月15日で、どこも開催時間の7時台後半に居合わせた幸運。これだけで、ナイトズーに来てよかった。
死んだ人たちの魂が空の上から眺めているのかもしれないと、感傷にふけった夜だった。
※現在、東山動植物園の動物園エリアは鳥インフルエンザの影響で閉園中です。
※2017年1月13日、約1か月ぶりに再開しました。