早死にする医師一族
久々に久坂部羊作品を読みました。
「祝葬」(2018年、講談社)は、早死にしてしまう医師一族の物語。
信州で病院を経営する土岐家は4代にわたる医師一家だが、親族を含めた医師6人が若くして死んでしまう。死因は肝硬変、山で滑落、風呂で溺死、胃がん、肺がん、急性心不全とばらばら。実は自殺や他殺も含まれるが、社会的には暴かれず、読者にだけ分かるという書き方です。
5つの短編から構成され、戦前の初代から未来の4代目まで、時代も語り手もランダムに描かれる。未来というのは、一族で唯一早死にをまぬがれた4代目が生きる2068年のこと。4代目は兄弟で、弟は37歳で早死にしたが、兄は長生きして91歳という設定。
初代は言いつけを聞かない患者を怒鳴りつけ、鼓膜を破ってしまったなんて話が出てくる。今だったら裁判沙汰になりそうな話も、医師が神に等しい存在だった昔は、あまり問題にならなかったようだ。しかし時代が下るにつれて、医師の社会的地位は少しずつ低くなっていく。
初代から4代目まで130年以上にわたる医療現場の変遷を俯瞰して見せてくれるのも面白さの一つです。
がんが克服された未来
未来の医療の世界はどうなっているのか。
2068年時点で、がんは免疫療法で治る病気になっている。きっかけは2014年に認可されたオプジーボで、その後もT細胞制御系の薬剤が次々と開発され、進行がんでも免疫療法で治るように。そのため、がんの3大療法とされてきた手術、抗がん剤、放射線治療はすたれてしまい、仕事のなくなった外科医、腫瘍内科医、放射線医の多くは検診医に転身しているそうだ。
がんが治る病気になるのは本当に喜ばしい。でも体は若い頃のように動かず、気力も湧かず、つらいことばかり。寿命ばかり延びて、果たして幸せなんだろうか。そう思っても簡単には死なせてくれないのが未来のようです。
初代の医師は患者を苦しめる積極的な治療に懐疑的で、ひ孫等は「曾祖父は医療ニヒリストだったのではないか」と想像する。「治療も検査もしないほうがいい。治る病気は何もしなくても治るし、治らないものは何をしても治らないと悟っていた」と。
これ、まるで近藤誠医師の言葉のよう。そして久坂部羊自身の言葉のようでもあります。共に何十年も身を置いてきた医療現場から導き出された言葉だと思うと、空恐ろしいものがあります。
※久坂部作品について、これまでに書いています。
2019年5月19日(日曜)
〇体重 51.0 〇BMI 19.3 〇体脂肪率 27.0
■朝
豆乳、野菜ジュース
■お昼
ちゃんぽん(タマネギ、人参、マイタケ、エノキ、ネギ、アスパラガス、厚揚げ、ちくわ、イカ)、ブロッコリーとトマト(甘酢)
■お八つ
コーヒー、飴
■夕飯
カンパーニュ2枚(トースト)、ツナのパテ(オリーブ、マヨネーズ)、サラダ(ブロッコリー、パプリカ、ゆで卵、カマンベールチーズ。岩塩、黒胡椒、オリーブオイル)、スープ(ニンニク、タマネギ、人参、エノキ、ズッキーニ)
2019年5月20日(月曜)
〇体重 51.2 〇BMI 19.4 〇体脂肪率 27.2
■朝
豆乳、野菜ジュース
■お昼
焼きビーフン(タマネギ、人参、シメジ、ピーマン、魚肉ソーセージ、かまぼこ)、吸い物(インスタント。ネギ)、納豆(卵、ネギ)、ブドウ
■お八つ
コーヒー、飴
■夕飯
雑煮(切り餅2個。小松菜、マイタケ、かまぼこ)、サラダ(ブロッコリー、トマト、リンゴ、カマンベールチーズ。岩塩、黒胡椒、オリーブオイル)、ニラの卵焼き、大根おろしとちりめん
コメント
こちらのブログで見て、読んでみました。面白かったです。
最終章の未来編がすごいですね。
ただでさえ間近で両親を見ていて、長生きはしたくないな〜と思う今日この頃でしたので、個人的にはホラーのように感じました。
>治療も検査もしないほうがいい。治る病気は何もしなくても治るし、治らないものは何をしても治らないと悟っていた
第3章で、ガン患者が最後まで諦めず奇跡を起こしたドラマを書き、その影響で悲惨な亡くなり方をした患者の妻から刺される医師けん作家の名前が刑部侑(オサカベユウ)って。久坂部さんはかなり皮肉屋ですね(笑)ご自分の考えは完全に初代騏一郎と同じなんでしょうね。
>最終章の未来編がすごいですね。
未来都市の描写にリアリティがあって、本格的なSFみたいでした。
ただ、内容的には救いも希望もありませんでしたね。病気では簡単に死ねないから事故で死ぬことを願わなきゃいけないとは(長生きが怖い)、なんて罰当たりな社会でしょう。
ユートピアとディストピアは表裏一体かもしれません。
>医師けん作家の名前が刑部侑(オサカベユウ)
自分自身さえ俎上に上げちゃうなんてさすが。でも、もしかしたら作家自身も危ない目に遭っているかもしれない、なんて怖いこと考えてしまいました。