吉野山と西行庵

願はくは花のもとにて春死なむ その如月の望月のころ

桜の季節が近づくと、よく口ずさまれる西行法師のこの歌。

できるなら桜の咲く如月(陽暦3月)の満月のころ、桜の花の下で死にたいものだ、というような意味。西行は望み通り、陰暦2月の満月、桜満開の時期に死んだため、日本人の美意識を揺さぶるのだろう、この歌を好む人は多い。また、がんになって死を意識した人の気持ちにフィットするのか、ブログなどでもたまに見かけます。

西行は妻子も北面の武士という名誉な仕事も捨てて出家、諸国を旅しながら歌を詠んだ。身近な人にとっては自分勝手で許しがたいヤツだと思うけど、自由な生き方にあこがれる人は多く、900年後の今もファンが多い。

かくいう私もその一人。

西行がいっとき住んだという吉野山(奈良県)の奥千本の西行庵というのはどんなところか、10年ほど前の4月上旬の週末、友人たちと日帰りのバスツアーで出かけたことがある(奥千本まで歩くハイキングのツアー)。

吉野は広い。桜(主に山桜)は約3万本。それぞれ一目で1000本の桜が一望できるということから名付けられた、ふもとの下千本から中千本、上千本と順々に花開いていって、最後が一等山奥の奥千本。

その奥千本に西行は庵を結んだわけです。人っ子一人いない山奥で、鳥の声と葉ずれの音だけを友として歌を詠む毎日・・・。奥千本ってどれほど深山幽谷か、どれほどうっそうとした静かな場所かと思うでしょう。

行ってびっくり。普通の公園でした。整備されたばかりらしく、歩道の脇に植えられた桜の木はまだ小さく、何かすごく人工的な空間。

庵の中に西行さん

西行庵は板で屋根を葺いたような粗末な小屋を想像していたが、風雨にさらされることを想定してか、おそらくコンクリート造り。土壁とかそれらしく造作してありましたが、中に西行の座像が据えてあったのは、やり過ぎで興ざめ。周囲は名古屋駅のコンコースかというくらい人が行き交って、こんな場所じゃ絶対歌なんて詠めっこありません。

呆然としていると、近くにいた60ぐらいの中年女性の二人連れが、

「ほら、西行の歌で、願わくは、ってあるでしょ」

「願わくは?」

「桜の下で死にたいとかいう歌。何だったっけ?」

「ああ、何か聞いたことある」

とやっていたものだから、思わず口を出してしまいました。

「願はくは、花のもとにて春死なむ、その如月の望月のころ、です」

「ああ、そうそう、そうだった」

知ったかぶりして、おせっかいですみません、と言葉を足して、その場を離れた(ああ、自己嫌悪!)。

こんなの西行庵じゃない。来なきゃよかったかも、と暗い気持ちで山を下り、ふもとの駐車場に駐められた観光バスに戻った。

すると帰りのバスの中で、添乗員さんが、

「実はお客さんの一人が、バスを降りるときに足をくじいてしまって、ずっとバスの中で待っていらしたんですよ」

ハイキングのツアーだから、歩けなければそれで終わり。バスで別の場所を観光するオプションもないから、ずっと待つしかない。気の毒に。

文句ばっかり垂れててすみません。あんな西行庵でも見られただけよかった、いや、ほんと。

(10年以上経ってるから、ずいぶん変わっているかもしれません。今度行くなら是非、人の少ない紅葉の季節に出かけたいものです)

2017年3月27日

〇体重 49.4 〇BMI 18.7 〇体脂肪率 26.0

■朝

豆乳、野菜ジュース

■お昼

うどん(乾麺80グラム、干しシイタケ、ワカメ、ネギ、天かす、竹輪)、根菜の煮物、野菜ソテー(ピーマン、エリンギ、ブナピー、厚揚げ。甘味噌)、カボチャ煮

■夕飯

ご飯、味噌汁(ブナピー、オクラ、豆腐)、塩鮭、山芋短冊(卵、ワサビ)、卯の花(ネギ)、キュウリとわかめの酢の物(ショウガ)、梅干し、のり

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