モデムの故障
5月下旬、パソコンでネットをしているとモニターがフリーズした。メーラーも止まってしまった。再起動したり、モデムの電源を切ったり入れたりすると戻るのだが、日に何度も繰り返すと面倒なことこの上ない。
以前にもこんな状態になった。そのときはプロバイダーのサービス会社(A社)にモデムを交換してもらったら直ったので、今回も電話をした。
ジュースの原液のにおい
約束の日の昼過ぎ、A社と提携しているB社から担当者が訪ねてきた。30代半ばの男性、Cさんだ。
ドアを開けて、あっと思った。彼の全身から異様なにおいが漂ってきたのだ。ジュースの原液のような甘ったるいにおい。色にたとえれば赤紫。強烈だった。
仕事部屋に招き入れると、Cさんは敷物を広げて機器を並べ、パソコンやモデムに機器をつないで故障個所を調べ始めた。しかし原因はなかなか見つからない。Cさんは仕事ぶりも口調もゆっくりで、よく言えば丁寧、悪く言えば能率が悪かった。などとあしざまに言うのは、もちろんにおいのせいだ。
菊人形というのがあるが、Cさんの場合は原色のトロピカルフラワーで全身を飾り立て、毒々しいにおいを半径10メートルにまき散らしているようだった。
私はにおいに弱い。目がチカチカし始め、涙が出て来た。一刻も早く帰ってもらいたかったが、修理が終わらないことには来てもらった意味がない、我慢するしかない。
30分くらい経ったが結局原因は分からずじまいで、モデムは交換してくれなかった。またフリーズしたらどんな常態なのかA社に連絡してほしいと言って、Cさんは帰って行った。
目の痛み、頭痛、吐き気
ドアが閉まるや否や、全ての部屋の窓を開け、扇風機とサーキュレーターを回し、赤紫色のにおいを追い出しにかかった。そのうち気分が悪くなって、寝室で眠ってしまった。午後遅くに起き出すと、部屋の隅やソファと壁の間の床などにトロピカルフラワーのにおいがよどんだままになっていて、吐き気が戻ってきた。再びサーキュレーターを回した。
Cさんが来たときと変わらないにおい。濃度が同じで、ケミカルなにおいだ。におい攻撃という言葉が頭をよぎる。私にとっては犯罪行為に等しい。
夕方になって、またネットが止まった。さっき来てもらったばかりなのに! と毒づきながらA社へ電話。Cさんに言われたように、どんな状況になっているか伝えると、A社の担当者は今度こそモデムを交換するという。再びB社の人に来てもらうことになる。その日時を決めながら、考えた。
(またCさんが来るんだろうか。A社の人に、「別の人にして」と頼めないか。あるいは、「Cさんはにおいがきついので、注意してもらえないか」と直截的に言っていいものだろうか。A社の人にそんなこと言ったら、B社とCさんにとってマイナスにならないか。逆恨みされないか)
言うべきか言わざるべきか迷ったが、結局A社の人には言わなかった。決めた日は日曜で、Cさんは休みかもしれない、別の人が来るかもしれないと楽観的に考えたのだ。
私の期待はあえなく打ち砕かれた。
帰ってください
日曜の昼前、モニターの向こうでチャイムを鳴らしていたのは、果たしてCさんだった。自分の読みの甘さに歯がみしたが、もう遅い。でももしかしたら今日はあのにおいはしないのではないかと淡い期待を抱いたが、やっぱり大甘だった。
ドアを開けると、すさまじい赤紫色のにおいが飛び込んできた。下手な仏心を出したばかりに、後悔することになってしまった。自分の根拠のない楽観主義を呪いたくなった。
すぐに目が痛くなり、においが苦痛でハンカチで鼻を覆った。彼に近づきたくなかったので、隣の部屋から作業を見守った。
Cさんは再びいろいろとチェックをした上でモデムを交換してくれた。「確認してください」と言われたので、恐る恐る彼の隣に行き、マウスを操作すると、何と画面がフリーズしてしまった。
「こうなるんですか」とフリーズ状態を初めて目にしたCさんは、またチェックを始めた。もう我慢の限界だった。
「もういいです、これで。また止まったら再起動します。私、においがだめで、目が痛くて」
「あ! この柔軟剤のにおいですか」
「ああ、柔軟剤、やっぱり。この間もにおいがきつくて、帰られてから気持ち悪くなって寝込んじゃったんです」
「すみません。だめな人いますよね」
「結構いますよね」
Cさんはそそくさと機器をまとめると、「すみません。またフリーズしたら、今度は別の担当が伺うと思います」と言い残して出ていった。面倒な客と思われたかもしれない。
においの暴力「香害」
再び、すぐにサーキュレーターと扇風機を回して、赤紫色の空気を追い出した。
Cさんは結婚指輪をしていたので、客先へ出向く夫のために、妻が気を利かせて香り付き柔軟剤を使うようになったのかもしれない。おそらく内助の功のつもりなのだ。
宅配便でも柑橘系のにおいをプンプンさせたドライバーがたまに来る。あれは荷物を受け取り判をつく1分足らずの間、相対するだけなので我慢もできる。しかし部屋に居座られたらお手上げ。
甘くてくどいにおいが部屋の隅々まで行きわたる中、逃げ場もなく、目が痛くて涙がにじみ、体もこわばってくる。まるで神経ガスのように、毒素が血管を伝って全身に広がり身体をむしばんでいくような恐怖感、耐えがたい気持ち悪さ、そして不快に思う人もいるという想像力のなさへの憤怒。
香水などは時間が経つと香りが変化し徐々に消えていくが、香り付き柔軟剤はずっと同じケミカルなにおいが持続する。情緒もへったくれもない。
あんな強烈なにおいを全身にまとい、本人は気分が悪くならないのか、鼻がバカになっているのか。
こういう人が、いいにおいをさせていると勘違いして市中を我が物顔で闊歩しているというのは、犯罪ではないのか。これを暴力と言わず何と言うのか。
においが原因で健康に害を及ぼすことを「香害」と言うらしいが、あんな犯罪的なにおいに「香」の文字は使いたくない。
その日の午後、やっぱりベッドに倒れ込んでしまった。数日間、身体がだるくて仕方なかった。
モスキート音
5月、中国に駐在していたアメリカ総領事館の職員が異常な音を聞いて脳に損傷を受けた、中国による「音響攻撃」ではないかというニュースを見た。音による攻撃というのは以前から結構あるようだ。
数年前、友人たちと飲んでいるとき、モスキート音が聞こえるか試してみた。高周波のモスキート音は年齢を重ねるとだんだんと聞こえなくなる。同年齢の友人たちの中で誰が耳が若いか、スマホのアプリから音を流してみた。低い方から高い方へ。
一番早く聞こえなくなったのは、私だった。私の耳は年寄りなのですね。ただ、耳がよくない分、鼻が利くのかもしれない。
またもや昨日、モニターがフリーズした。それも2度も。A社に電話すべきか、いっそプロバイダーを代えるべきか、迷っている。
※においについては以前も書いています。(→「くさい日本の私」)
ベビーフレグランスが流行らなくて心底よかった。
2018年6月4日(月曜)
〇体重 50.8 〇BMI 19.2 〇体脂肪率 27.5
■朝
豆乳、野菜ジュース
■お昼
ちゃんぽん(タマネギ、ニンジン、シメジ、ピーマン、小松菜、厚揚げ、かまぼこ、イカ)、キュウリとトマトの甘酢和え
■お八つ
コーヒー、飴、ピーナッツチョコ
■夕飯
ご飯(雑穀入り100グラム)、ワンタンスープ(エリンギ、小松菜)、肉なし酢豚(タマネギ、ニンジン、ピーマン、タラの天ぷら)、サラダ(ブロッコリー、ちりめん、パプリカ、オリーブ。岩塩、黒胡椒、オリーブオイル)
コメント
昨夜この記事を読んで、30代男性が赤紫の匂いって、読んでるだけでクラクラしそうでしたが、今日、午前中母を病院に連れて行ってたのですが、隣で待ってる間中オーデコロン臭くて気持ちが悪くなってきました。昼過ぎに母を家に連れて帰ると、洗面所に蓋のあいたコロンが。
どうも母が出がけに化粧水と間違えてたのか?(本人に聞いても忘れてます)。同じ香りでした。
私は香りにあまり敏感ではなかったのですが、最近スーパーの洗剤・柔軟剤売り場にいたら鼻水が出てきたり、ヘナで髪を染めたらかぶれたり、もしやアレルギー?と思ってます。
そもそも柔軟剤を使わないので分かりませんが、なぜせっかく洗った洗濯物にそんな香りをつける必要があるんでしょうね?
>最近スーパーの洗剤・柔軟剤売り場にいたら鼻水が出てきたり、
私もスーパーやドラッグストアの洗剤売り場、果てはデパートの化粧品売り場も鬼門で、通る必要があるときは駆け足になります。においが気持ち悪くて。
以前からケミカルなにおいはダメでしたが、最近はとみにきつくなっている気がします。
消えてなくなれ、香り付き柔軟剤! と断罪したいくらいです。
お母様のコロンですが、tontonさん、どうして途中まで気付かれなかったんでしょう。不思議。
香水やコロンは時間が経つと香りが変化するので、トップノートでは気付かず、ミドルノートで気が付いたということかしら。あるいは待合室の温度のせいかもしれませんね。
行きはタクシーで行ったのに、そんな狭い車の中でもなぜか気がつきませんでした。
最近、寝たきり老犬の臭いがきつくて、実家中にその臭いが充満。鼻がバカになっているかもしれません。
病院の待合室で初めて誰かな?このコロン、隣のおじさんか?と思ってました。
最近ファブリーズのにおいも苦手になってきました。
>消えてなくなれ、香り付き柔軟剤!
アンクルパンツもね(笑)(履いてますけど)
>最近、寝たきり老犬の臭いがきつくて、
なるほど! この言葉でハッと気付きました。
人の家って独特のにおいがありますよね。うちも無臭だと思っていたけど(たまにエッセンシャルオイルを使いますが)、実は嫌なにおいが充満しているのかも。
Cさんは訪問先の家のにおいに耐えられなくて、香り付き柔軟剤を過剰に使っている(毒をもって毒を制す? ちょっと違うか)。実はCさんはものすごく鼻がよかったりするのかもしれません(あくまで想像)。
アンクルパンツは真冬じゃなければいいのです(笑)。私もはいてますよ〜。